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ICTソリューション紹介

部署や業務ごとにテレワークの最適解を検討。 緊急避難的テレワーク、その導入と成功の秘訣は!?

働き方改革

公開日:2020/05/25

今回の新型コロナウイルス流行によるテレワーク導入で、業務効率の維持が課題となる事業者さまも少なくないでしょう。株式会社アントレンドは、部分的な在宅勤務と交代勤務により、その課題に挑んでいます。

 株式会社アントレンドは、中小企業のIT化を推進することを目指し、2002年に創業したソフトウェア開発会社です。得意とするのはクラウドを利用したオーダーメイドのアプリケーションで、特にブラウザを使い操作する業務アプリケーションに強みを持っています。

  • ▲代表取締役社長
    木村 隆行氏

     「業務用としては安価な汎用のパッケージアプリケーションが多く流通しています。しかし実際に導入にあたっては、会社ごとの業務の流れの違いや企業文化により、改修が必要なことも多く、その改修費を含めると意外に高額になってしまったということも少なくありません。弊社ではお客さまのご要望をしっかりとヒアリングし、業務内容にフィットしたオーダーメイドのアプリケーションを開発、保守も責任を持って行います」(木村氏)

 また同社はこのソフトウェア開発を軸足にしつつ、技術者の常駐型派遣も手がけています。これは、安定した売上げを確保し、本来の目的である受託型ソフトウェア開発に注力できる財務体質を確保するための経営戦略です。

長期化する新型コロナウイルス問題に対応するためテレワークを決断

 今回の新型コロナウイルスが日本で問題視されはじめたころ、木村氏はテレワークへの移行を重要視していませんでした。当時は感染の広がりがここまで長期化することはあまり想定されていなかったからです。

  •  「小さな会社ですが、オフィススペースにはゆとりがあります。社員同士が“密”になっていることもないので、パーティションなどで区切れば十分で、たとえ自宅待機などで業務が滞るようなことになっても、短期間なら大丈夫だと思っていたのです。また派遣先にいる社員については、派遣先の指示に従うことで問題はないという認識でした」(木村氏)

 ところが新型コロナウイルスの感染者は3月後半にかけて増加を続け、短期間で収まるという見通しも不透明になってきました。そうした環境の変化を受け、同社はテレワークの導入に踏み切ることになります。

 「オフィスには営業、システム開発など、常時10人程度が出勤し、働いています。その10名にどのようにテレワークを導入するか、営業とシステム開発の責任者と話し、まずはシステム開発のエンジニアからテレワークがスタートしました」(木村氏)

クラウド上にデータを置く仕事の流れがテレワークに奏功

 同社のシステム開発部には、以前よりテレワークの環境が用意されていました。しかしそれは、こうした事態にそなえたBCP対策としてではなく、お取引先のシステム保守を担当する管理職が、長期休暇などの時に社外から対応することを考えてのものでした。そのため一般の社員を含めたテレワークに取り組むのは、今回がはじめての機会となりました。

  • ▲取締役
    システム開発部
    統括マネージャー
    萩原 直樹氏

     「いきなりテレワークになると仕事に支障が出るのではないかということで、システム開発部6名のうち、交代で1〜2名ずつが在宅勤務を行うトライアルからスタートしました。最終的に役職者は社内勤務とし、一般社員が在宅で勤務するという形に落ち着きました」(萩原氏)

     実は同社のシステム開発部では、開発に必要な素材やデータなどはクラウド上に置き、開発そのものはそれぞれのPCにインストールされたソフトウェアで行うという業務スタイルをとっています。今回のテレワークへの移行にはこれが大きく貢献しました。つまり社員が自身で所有するPCにそうした開発環境を用意することで、自宅でもオフィスと同じように仕事を進めることができたのです。

 「もちろん、社外で行う業務ですから、テレワークにあたっては情報の管理などの誓約書を提出してもらいました。またセキュリティ上の観点から、お客さまからの受託開発案件ではなく、自社で使うプログラムの開発が業務範囲となっています」(萩原氏)

 出勤する管理職、在宅勤務の一般社員はそれぞれ3名。100%の在宅勤務ではありませんが、「人と人との接触」は大きく抑制できることになりました。

機密データへのアクセスがネックとなり、営業部は交代勤務で

 一方、営業部のテレワークは苦労をともなっての船出となりました。営業部の業務の多くは技術者を派遣しているお取引先さまとのやりとりが中心で、そうした業務には社内のサーバーに保管された技術者の個人情報やお取引先さまとの契約情報など、機密情報が必要になります。しかしこうした情報を社外に持ち出したり、社外からインターネット経由でのアクセスを許可することは、情報漏洩のリスクがともなうため、社内のPCからのみアクセスできる仕組みとなっています。

 「部署にいる2名のうち、まずは私がトライアル的に、2日間在宅勤務しました。しかしお客さまから問い合わせがあるたびに会社に電話しなければならず、とても続けられないと判断するに至ったのです」(尾崎氏)

  • ▲取締役
    営業本部長
    尾㟢 聡氏

     そこで最終的に、尾崎氏ともう1名の社員が交代で勤務し、在宅でできること、オフィスでできることを切り分けて仕事する形態となりました。

     「外出先や自宅から会社にアクセスして仕事できれば便利ですが、やはり外で仕事することはリスクがともないます。便利だからというだけで何でもOKにするわけにはいかないと思います」(尾崎氏)

     このようにオフィスで勤務する社員と在宅で勤務する社員にわかれて仕事することになると、コミュニケーションが課題になります。

 「システム開発部では、コミュニケーションアプリ『Skype』を利用し、必要に応じてオフィス勤務者と在宅勤務者、また在宅勤務者同士の意思疎通を図っています」(萩原氏)

コミュニケーションと労務管理が課題として浮上

 こうした勤務形態となって約1ヶ月。この間を振り返り、木村氏は以下のように語ります。

 「システム開発部と営業部、それぞれが仕事を進める上でやりやすい形のテレワークとなりました。いわゆる“100%の在宅勤務”ではありませんが、出社する人数を減らしたことで、オフィスでの『人と人との接触』を避けることができただけでなく、在宅勤務により通勤での他人との接触も減らすことが可能となりました。またふだんから業務にクラウドや外部のツールを活用するなどしていたことが、在宅勤務でも大きく役立っていると思います」(木村氏)

 ただ実際にテレワークをはじめたことで、新たな課題も浮かび上がってきました。その代表例が、コミュニケーションです。

  •  「Skypeでつながっているとはいっても、やはり社内で机を並べての業務より、コミュニケーションは薄くなります。例えば社内でディスプレイを眺めて“固まっている”社員がいたら、何か開発においてわからないことがあるなど、その先に進めない状態になっていることがわかります。しかし目の届かない在宅勤務ではそれがわかりません」(萩原氏)

 「社内では困った時、行き詰まった時に誰かに話しかけることで解決の糸口が見えることがあります。しかし在宅勤務では、一人で考え、一人で結論を出さなければなりません。本格的なテレワークを導入することになれば、そこが課題になるのではないでしょうか」(尾崎氏)

 また在宅勤務のシステム開発部社員からは、「自己管理がきつく、出社して仕事したほうが楽でいい」「就業時間中、ずっとディスプレイの前に座っていなければならない気がする」といった声も上がっているとのことです。

 「自分自身も、ついつい夜遅くまで仕事してしまうなど、仕事とプライベートがうまく切り分けられないことがたびたびです。そのあたりをどうコントロールしていくかも課題になるでしょう」(尾崎氏)

再来する危機対応のため、平時からの取り組みを推進

 そして木村氏は、将来のテレワークに向けての方策も、すでに検討をはじめています。

 「今回は緊急避難的なものとしてはじめたので、システム開発部においては社員が個人所有するPCに業務用のアプリケーションをインストールし、仕事してもらっていますが、やはりこうした事態がまた訪れることを考えたら、会社として持ち出せるPCを用意し、より安全な方法で業務データのやりとりができるようにするなどの対策が必要でしょう。またテレビ会議を行うこともありますが、そのために必要なWebカメラやヘッドセットが足りなくて、順番待ちが出ています。こうした機材もしっかり準備しておかなければならないと感じました。テレワークにかかわる補助金、助成金の活用も積極的に検討し、対応を進めていきたいと思います」(木村氏)

最後に木村氏に、今後の展望をうかがいました。

 「私たちのような小さな会社は、決めたことをスピーディに取り組めるのが強みです。今回もテレワークを導入すると決めてから、わずかな期間で体制を整えることができました。大企業であれば、各部署のコンセンサスなどが必要になりますが、中小企業ではトップの決断があれば、その時その時でベストな施策が打てると思っています。ただ経営者として思うのは、けっして『テレワークありき』ではないことです。今回は緊急避難的にテレワークとなりましたが、平時のテレワークでは『それが生産性向上につながるのか、出社しての仕事よりパフォーマンスが高まるのか』がつねに問われることになると思います。そのあたりの意識を社員にも徹底し、取り組みを進めていきたいと思います」(木村氏)

会社名 株式会社アントレンド
設立 2002年(平成14年)10月4日
本社所在地 東京都港区芝浦2-14-13 MCK芝浦ビル6F
代表取締役社長 木村 隆行
資本金 2,500万円
事業内容 情報事業(ウェブクラウド系・移動体通信系)、人財事業など
URL https://www.entrend.net/
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