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VR(仮想現実)と電子署名で、現地に行かずにオンラインで不動産が買えるように記事ID:D30001
1991年に横浜で創業し、国内外の不動産仲介を手がけているリストグループ。その中核となるリストインターナショナルリアルティ株式会社は、「不動産×グローバル×最先端のIT戦略」というスローガンを掲げ、富裕層を対象とした高級不動産仲介に強みを持っています。
今回は、アウトバウンドセールス責任者である大橋登氏に、ウィズコロナ時代の不動産仲介のあり方について話をうかがいました。
コロナの影響を受け、高級不動産市場でもオンラインでのやり取りが増加
東京営業本部 銀座オフィス課長 兼
アウトバウンドセールス責任者
大橋 登氏
弊社は、オークションハウス「サザビーズ」を起源に持ち、世界72の国と地域に約1000の拠点がある不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」の日本独占営業権を取得し、「リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ」のブランドを掲げて事業を展開しています。オークションハウス「サザビーズ」の顧客は富裕層が多いため、弊社も特に高級不動産に強みを持っています。その中で私の部署は、ハワイを中心とした海外不動産仲介をメインに行っています。富裕層のお客さまの多くが、資産分散などの投資目的で不動産を購入されています。
コロナ禍の影響を受け、不動産業界でもお客さまとのコミュニケーションもオンラインでのやり取りが増えてきています。コロナ以前は、オンラインでの接客は失礼にあたるという風潮で、遠方のお客さまに対しても直接足を運んでお話ししていました。オンラインでやり取りできるようになった今は、接客の効率が上がったと感じます。我々のお客さまは比較的年齢層が高く、50代をメインに60代以上の方が多いため、オンラインの接客に切り替えるには少し心配がありましたが、日ごろからウェブ会議システムなどを使いこなしている方が多く、問題はありませんでした。
セミナーもオンラインに切り替えることで、遠方のお客さまも参加できるようになった
オンラインセミナー開催の様子
以前は、大規模な会場セミナーを開催するために全国各地を回っていましたが、現在はセミナーもオンラインに切り替わっています。会場セミナーの場合は、3~4ヵ月前から会場を探し、セミナー内容や設営方法を検討し、現地で告知・集客するといった大がかりな準備が必要でした。オンラインセミナーは会場費もかかりませんし、企画から実施までほんの数週間でできるので、短期間に複数回のセミナーを実施することができます(図1参照)。また、以前は会場には来られなかった遠方のお客さまも、オンラインであれば参加できるという方が多いので、客層が広がったと感じています。一方で、対面のセミナーと比べて、オンラインではその場でちょっとした相談がしにくいため、セミナー後に担当営業からアフターフォローの電話やメールを行うようにしています。興味の度合いが高いお客さまからは、フォローメールを送った後に「もっと詳しく知りたいので時間を作ってほしい」といったリアクションがあるので、オンラインに切り替えたからといってデメリットはあまりないですね。
コロナ禍で移動が制限されても、物件情報はほぼオンラインで取得できるように
オンラインセミナーには、ウェブ会議システムの「Zoom」を活用しています。Zoomでは、100名まで呼びかけができるのですが、テーマによって募集人数を変えています。これまで開催した中で最も応募者が多かった回では、90名の方にご参加いただきました。セミナーに参加されたお客さまが契約にいたるまでには、ウェブ会議やメール、電話で何度か物件情報をお伝えした後に、実際に現地に足を運ばずに契約される方もいらっしゃいます。コロナ禍では不動産を買い控える人もいますが、「よい物件であれば買い時だ」と機会を待っている方も多いため、需要はあります。現地に足を運べなくても、Zoomやメール、電話といった非対面のコミュニケーションで充分に物件情報を把握していただけているようです。現時点では、国内物件の場合は、最後に現地を見てから契約したいというお客さまが多いのですが、コロナ禍が続くと、情報収集だけでなく内覧から契約までもオンラインで行いたいというお客さまが増えるのではないでしょうか。
ハワイの物件もバーチャルショールームと電子署名でオンラインでの購入が可能に
海外物件の場合、以前から押印ではなく電子サインが普及しているため、メールのみでの契約が可能です。実際に今回のコロナ禍で、バーチャルショールームをご覧いただき、電話やメールで書類のやり取りをして、一度も直接お会いせずに契約に至った方もいます。ご自身の別荘にしろ、投資目的にしろ、やはり現地で実際に物件を見てから買いたいというお気持ちがあると思いますので、オンラインのバーチャルショールームで部屋の隅々までお見せしながら、お客さまと最適な物件を話し合って決めています。また、バーチャルショールームがない場合は、ハワイ支店の弊社スタッフが直接物件に足を運び、スマートフォンのカメラで撮影した映像を生中継でお客さまにご紹介することもあります(図2参照)。
ウィズコロナの時代は、VRと電子署名でオンライン取引をスムーズに進めたい
バーチャルショールームのイメージ
今、国内のリゾート不動産は需要が伸びています。コロナ禍でテレワークが進んだことにより、普段は軽井沢などの別荘で生活し、必要な時だけ東京に戻るという働き方を選択する方が増えてきたからです。一方で、ハワイなどの海外物件は海外渡航が難しいこともあり、以前に比べると取引数は減少しています。そのため、「ウィズコロナ」の状況下ではVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)などの技術を取り入れて、その場に行ったかのような臨場感を持った案内が必要だと思います。VRを活用すれば、物件だけでなく周辺環境の紹介も可能なので、お客さまも物件の魅力をより具体的に理解されるのではないでしょうか。ただ、コストがかかるので、すべての物件をVR対応にするのではなく、スマートフォンカメラでの生中継と併用するのが現実的だと考えます。また、これを機に国内の不動産売買契約でも電子署名、クラウドサインが認められるようになることを期待します。
会社名 | リストインターナショナルリアルティ株式会社 |
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設立 | 2009年(平成21年)10月16日 |
本社所在地 | 神奈川県横浜市中区尾上町4-47 リスト関内ビル |
代表取締役社長 | 北見 尚之 |
資本金 | 8,000万円 |
事業内容 | 不動産の売買・賃貸の仲介、受託販売、不動産賃貸管理、不動産の運用、管理、資産コンサルティング業務、損害保険代理店 |
URL | https://www.listsothebysrealty.co.jp |
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