ICTソリューション紹介

紙ベースの書類があなたの業務を阻害している!?
紙文書の電子化が、テレワーク・業務効率化の第一歩
-NTT印刷株式会社-

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために急速に進んだテレワークですが、その課題も浮き彫りになってきました。例えば、紙文書を閲覧したくても自宅からは見ることができない、また紙文書に上司の承認印を得るためだけに出社をしなければならない、といった事態が社会的な問題として取り上げられています。今回は、オフィス文書の電子化をサポートしているNTT印刷株式会社の石倉 英樹氏、岩田 智彦氏に、紙文書を電子化することのメリットや注意点などをうかがいました。

電子化がなかなか進まない原因とは?


  •    データビジネス部
       DX・BPO推進室
       室長
       石倉 英樹氏


     以前から「オフィスの業務効率化を阻害している」といわれてきた膨大な紙の書類。「早期に電子化(ペーパーレス化)が必要だ」という声が上がっても、これまでなかなか進まなかった組織が多いのではないでしょうか。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、急遽、在宅ワーク・リモートワークをせざるを得なくなり、就労環境が整わない中で「紙文書が必要な業務」が遅々として進まないという事態に直面しました。限られた出勤日にまとめて作業しようとしても、施錠された倉庫に紙文書が保管されていたり、個々の社員が個人机内で資料を保有していたりで必要書類の収集がはかどらないなど、文書データが共有されていないためにテレワーク化に踏み込めないという課題を抱える声が多く上がっています(図1参照)。

Case1 現場のお悩み①

取引先アンケートの結果をまとめたいAさんの場合

  •   食品メーカー 営業事務 Aさん

     Aさんは、食品メーカーの営業事務をしています。見積書や契約書を作成したり、月次の売上をまとめたり、日々多くの業務を抱えています。そんな中、毎年、得意先を対象に実施しているアンケートの結果をまとめるように上司から指示がありました。会社からはテレワークを指示されているので、出社できるのは週にたった2日だけです。

     できれば、自宅のパソコンから会社のサーバーにアクセスして、必要なデータを取り出したいのですが、アンケートの回答用紙は鍵がかかったキャビネットの中に、取引先の送信リストは課長の机の上に、昨年のアンケート結果は自分の袖机に入っています。課長と出勤日を調整して、何とか必要書類を集めることはできたのですが、予定されたアンケート集計結果のとりまとめ提出日まであとわずか。さて、これからどうしようかと、300枚の回答用紙を手にAさんは途方にくれてしまいました。

用紙をスキャニングしてPDF化
AI-OCRを活用してデータ出力

データビジネス部
DX・BPO推進室
法人ソリューション担当
担当部長
岩田 智彦氏

 「Aさんのような悩みを抱えている方は多いと思います。紙文書は、テレワークのみならず業務効率化を阻害する要因になっていますので、ウィズコロナ、アフターコロナ下では、電子化の動きは急加速するでしょう。まさに業務の効率化の第一歩は、紙文書の電子化と言えるのではないでしょうか。業務の現場では、顧客管理や会計などの基幹業務では紙文書の電子化が進んでいますが、Aさんのように、アンケート分析などの業務は紙文書が残っていることが多く、稼働がひっ迫しがちです。その対策として、アンケート用紙をスキャニングしてPDF化すれば、AI-OCR※1を使って回答データをCSV形式※2で出力できますので、300枚のアンケート用紙も数時間で入力することが可能です(図2参照)。アンケート分析の本来の業務である『集計・分析』に注力できます」(岩田氏)

Case2 現場のお悩み②

請求書の処理業務を効率的に進めたいBさんの場合

  •   商社 経理部 Bさん

     Bさんは、商社の経理部門で請求書処理を担当しています。月末には、取引先から多くの請求書が届きますが、翌月末に支払いが完了するように10日ほどですべての入力処理を終了させなければなりません。もちろん紙の請求書は会社に届くので、出社しなければ業務が進みません。また、取引先にはPDFの請求書をメール添付で送ってもらうことを推奨しているため、各社から送られてくる形式はバラバラです。さらに、PDFで送られてくる請求書でも、社内では印刷して保管するルールになっているため、紙に出力してデータを手入力しているのです。このため、郵送の請求書よりもPDFの請求書のほうが処理に手間がかかっているのが実態です。新型コロナウイルスの影響により、2020年3月以降はメールで送られてくるPDFの請求書が大幅に増え、以前よりも処理にかかる時間が増えてしまいました。

「電子帳簿保存法」の要件に合致すれば
PDFでの保管が可能

 「文書の種類によって『電子化すべきもの』、『紙の保管が必要なもの』は異なります。業務プロセスに合わせて紙文書の管理が必要なものもあるでしょう。また、『電子帳簿保存法』や『e-文書法』などの法律や社内ガイドラインへの適応も重要です(図3参照)。Bさんのケースのように、会社ルールでは紙に出力をして保管が必要とされるものでも、『電子帳簿保存法』の要件に合致していればPDFでの保管が可能になり、紙の書類をなくすこともできるのです」(石倉氏)

 紙文書の電子化がテレワークや業務効率化を推進することは分かっても、何から着手すれば良いのでしょうか。法的な基準を守りつつ、業務の効率化を進めるためのプロセスをお聞きしました。

紙文書を電子化するには
①紙文書のデータ種別を整理する

 「紙文書の内容を整理・分類する必要がありますが、いくつか判断の基準とすべき点があります(図4参照)。法律やガイドラインで保管期限が定められているもの、個人情報など『機密性』の高いもの、図面類など大判で明瞭に見られることが必要とされるもの、保管後の閲覧頻度が高いものなど、いくつかの判断軸を基に『電子化して、紙文書を廃棄』『電子化を行い、紙文書も残す』『電子化せずに紙文書で保管』の選択をすることになります。社内文書すべてを電子化するとかなりのコストがかかってしまいますからね。一方、データの二次、三次利用を考えた場合、費用だけでなく『検索性』を重視して電子化したほうが良い場合もあります。保存要件や使い方に加えて、トータルで考えることが重要ですね」(岩田氏)

紙文書を電子化するには
②画像データにするか、編集可能なデータにする

 一口に紙文書の電子化と言っても、その方法はいくつかあるようです。石倉氏は次のように述べています。

 「電子化には、大きく二つの方向性があります(図5参照)。一つは、文書の『画像化』で、紙文書をスキャニングしてPDFなどに変換し、保管・閲覧できるようにすることです。もう一つは『データ化』で、PDFなどに変換した後に、そこから情報をデータとして抜き出して、システムなどで利用できるようにすることです。単なる画像化では、データとして使うことはできないため、ファックスなどで送られてきた発注書を見て、システムに手入力するという作業が残ってしまいます。データ化の作業は、一般にAI-OCRなどを用いてテキスト情報化したのち、ほかのシステムと連携させるという工程で行います。この際、RPA※3と呼ばれるソフトウェア型ロボットを利用し、データ入力を自動化することが可能となります。このように、抜き出したデータをどのように利用するのか、後工程まで考えることが大切です(図6参照)」(石倉氏)

紙文書の電子化において 気をつけるべきこと

 紙文書の電子化にはさまざまなメリットがあることが分かりましたが、導入・実施にあたり気をつけるべき点はどんなことでしょうか。

 「最初のステップにあたる『電子化する書類を選定する』ところがポイントです。法定書類のスキャナー保存要件は、規制緩和が頻繁になされるので、例えば弊社にも十数名の有資格者がいますが文書情報管理士※4など専門家のコンサルティングを受けるなどして、電子化に適した書類の選定を行うことが大切です。また、紙文書を電子化する場合、従来の業務フローが変わることが大半です。このため、慣れない作業に対して現場からは反発の声が上がるかもしれません。業務プロセスの見直しにおいては、実務担当者にしっかりヒアリングをして、利用者、書類の活用頻度、リモートでの閲覧要望、システム連携などの要件を満たすことが重要です」(石倉氏)

※1 AI-OCR:OCRは光学文字認識の略称で、スキャナーなどで読み取った手書き文字などをテキストデータに変換するソフトウェア。AI技術と組み合わせることで、読み取り精度がより高められる。
※2 CSV形式:データファイルの保存形式の一つ。文字列とカンマだけで構成されたファイルで、「カンマ区切りファイル」とも呼ばれる。
※3 RPA:Robotic Process Automationの略で、システムへのデータ入力など、単純な繰り返し作業を自動化して行うソフトウェア型ロボット。
※4 文書情報管理士:紙の文書を電子化して保存する技術と、書類保存に関連する法律や規格などの知識を身につけた、文書情報マネジメントのエキスパート資格。

会社名 NTT印刷株式会社
設立 1969年(昭和44年)4月1日
本社所在地 東京都中央区入船三丁目2番10号 アーバンネット入船ビル
代表取締役社長 柴田 基靖
資本金 1億円
事業内容 総合印刷事業を基軸に、データ処理ノウハウなどを組 み合わせて、お客さま企業の業務改善・効率化を可能 とするアウトソーシングサービスを展開。
本件に関する
お問い合わせは
0120-954-934
https://maruden.nttprint.com/

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