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-株式会社SYNQAI-
五つの傾向から学ぶAI研修の成果を上げるためのポイント

記事ID:D10067

近年、生成AIを中心としたAI導入拡大を背景に、AI研修に取り組む企業が増えています。しかし、コストや時間をかけて研修を行ったものの、「実務ではまったく使われない」と悩む経営者は少なくありません。そこで今回は、延べ1,000名以上の生成AI活用を現場で支援してきた株式会社SYNQAIの代表取締役社長・中本 樹氏に、中小企業がAI研修で成果を出すためのポイントについてうかがいました。

進まぬ実務でのAI活用 すれ違う経営者と現場

代表取締役社長 中本 樹氏

 国を挙げたAIの活用推進もあり、企業におけるAI導入事例は増えています。しかし、中小企業の導入率は依然として低く、株式会社情報通信総合研究所が実施したアンケート(2025年)によると、従業員300人未満の企業における生成AIの導入率は、試験的な検証中という企業を含めても20%にとどまっています。それでも2024年の同調査では13.3%だったので、増加傾向にあることは間違いありません。
 こうした状況を背景に、AIに関する研修を取り入れる企業が増えています。しかし、期待した成果につながっていないケースも少なくないと、AIの導入支援とAI研修を手がける株式会社SYNQAIの中本氏は指摘します。

 「近年は、国の助成金を活用したeラーニング型のAI研修を導入する企業が増えています。しかし、当社の調査ではAI研修の導入から3ヵ月が経過した時点で、実務でAIを活用した受講者の割合が5%を下回るケースも多く見られました。全従業員にアカウントを付与してeラーニングの環境を整えても、実務でAIを活用している従業員はほとんどいないという状況が生じています」(中本氏)

 なぜ、AIはなかなか実務で活用されないのでしょうか。その要因として中本氏が挙げるのが、「経営層と現場の構造的なすれ違い」です。

「中小企業では、最近のAIブームを背景に『このままでは取り残される』と焦ってAIを導入する経営者が少なくありません。しかし、経営者自身が現場の事情を十分に把握していないケースも多くあります。中小企業では、よく現場の業務は従業員だけで回している一方、決裁権を持つ経営者が現場の実情を知らないまま、『早くAIを導入したい』という理由で研修まで丸投げしてしまう。その結果、研修を受けてもAIを使う従業員がほとんどいないという構造的な問題が見られます」(中本氏)

AI研修・習得で陥りがちな 成果を出せない五つのパターン

 中本氏は、これまで数多くの企業を支援してきた経験から、AI研修後も実務での活用や習得が進まない企業には、現場の実情を無視した五つのパターンがあると指摘します。
 一つ目は、内容を精査することなく、動画を見るだけのeラーニングを研修方法として選ぶことです。AIツールは進化のスピードが速く、画面や機能が頻繁に変わるため、講義内容がすぐに古くなりがちです。また、受講を義務づけられた従業員は、動画を流し聞きするだけになってしまうこともあります。

 「eラーニングについては、国の『人材開発支援助成金』でも助成上限額が見直され、中小企業の場合、1人1訓練当たり30万円から15万円に引き下げられました。中には、流し聞きしていた従業員が助成金支給後の国の調査で、研修を受けているにもかかわらず受けていないと回答し、助成金の返還を求められた実例もあります。AIの習得は自動車免許と同じで、座学だけでは路上を走れず、実際にハンドルを握る体験が不可欠です。レーシングゲームが得意でも本物の車を運転できないのと同じことです」(中本氏)

 二つ目は、従業員の適性を見極めず、全員を一律に研修の対象とすることです。業務内容やAIとの相性を考慮せずに一斉に研修を行っても、実際の業務効率化にはつながりません。

 「AI活用には、職種によって向き不向きがあります。例えば、不動産業のように書類作成が多い現場では導入が進みやすい一方、建築や内装などの現場で体を動かす職人さんの仕事では、AIの出番はかなり限定されます。以前にヒアリングした際も、使えそうな業務は『壁の寸法を音声で入力し、必要な壁紙の量を自動で計算すること』くらいでした。一律に研修を行うと、現場の労働時間を奪うだけになりかねません」(中本氏)

 三つ目は、自社の環境や目的に合わないカリキュラムを学ぶことです。社内で利用が禁止されているツールの使い方や実務に直結しない研修を受けるケースが該当します。

 「例えば、社内で利用できるのは特定のツールなのに、別のツールの使い方を学んでしまい、現場では使えないというケースがあります。実務での活用が目的なのにAIの歴史や理論といった講義に終始する研修も同様です。事前に利用可能なツールを特定し、その機能に特化した実践的な演習を行うことが、AI活用を定着させる前提になります」(中本氏)

 四つ目は、全社一斉にAIを導入することです。複数の部署から参加者を同時に集めると、それぞれの業務内容が異なるため研修内容がぼやけ、受講者が自分の仕事でAIをどう活用するのかがイメージしにくくなります。

 「営業と事務では、AIの活用方法はまったく異なります。これらを混在させて研修を行うと、当たり障りのない説明に終始してしまいます。まずは特定の部署に絞って成功事例をつくり、そこから段階的に他部署へ広げていくアプローチが最も賢明です」(中本氏)

 五つ目は、成果の出ない研修ではありませんが、AIの習得を阻害するのが、社内で使用するデジタルツールの開発を外部に丸投げしてしまうことです。外部に頼り切ってしまうと、業務内容が変わるたびに修正費用が発生し、ツールが形骸化してしまう可能性がある上に、社内にノウハウが蓄積されません。

 「専門知識のない人でも、今は生成AIを使ってデジタルツールを自作できます。だからこそ、自ら課題を考え、課題解決に必要な仕組みを形にできる人材を早急に育てることが重要です。このような人材が育てば、生成AIを使った業務支援ツールの開発も主体的に進められるようになり、たとえ外注が必要な場合でも知見を得ることができますし、内製化が可能になれば外注費を削減することができます」(中本氏)

学びを定着させる鍵は 対面指導と人事評価

【図:AI研修の効果を実務に定着させるためのポイント】

 AI研修の失敗パターンを回避し、中小企業が研修の効果を実務に定着させ、自らAIを活用していくためには、どうすればよいのでしょうか。中本氏は、「三つの重要な定着ポイントがある」と解説します(図参照)。
 一つ目は、対面で行う「オフライン型研修」を選ぶことです。オンラインでは受講者がどこでつまずいているのかを把握しにくい一方、対面であれば講師がその場で状況を確認し、解決できます。

 「例えば生成AIツールは、契約プランや利用環境によって、『講師の画面にはあるボタンが、受講者の画面には表示されない』といったトラブルが起こりがちです。こうした画面の違いも、対面であれば講師が受講者の手元の画面を直接確認し、原因を特定した上で、その場ですぐに解決策を示せます。こうした個々の受講者のつまずきに対応できることは、対面指導ならではの強みです」(中本氏)

 二つ目は、事前に「業務ヒアリング」を実施してもらうことです。実際の仕事内容を聞き取り、業務に即した課題を用意してくれる研修でなければ、学んだことを実務につなげるのは難しくなります。

 「事前のヒアリングがない研修は、一般的な操作説明で終わってしまいます。自社が抱える業務上の課題を洗い出し、それに特化した演習に取り組むからこそ、従業員は『明日から自分の仕事が楽になる』と実感できます」(中本氏)

 三つ目は、研修後の「人事評価制度」を整えることです。AIを活用して業務を効率化し、残業時間を削減した従業員を適切に評価する仕組みが不可欠です。

 「成果が出たからといって、いきなり基本給を上げると固定費の増大につながるため、企業としては抵抗感があります。そこで、まずは削減できた業務時間などの定量的な成果に応じてボーナスを支給し、それを3~4回継続できた段階で基本給の等級を引き上げる『二段階式』の設計が非常に有効です」(中本氏)

 対応を急ぐあまり、経営者が従業員一律に「とりあえず何か研修を受けさせる」のではなく、現場の実情を踏まえた上で、目的に合致した研修を吟味し、まずは少人数から受講を始めてみてはいかがでしょうか。

会社名 株式会社SYNQAI
創業 2025年(令和7年)3月
所在地 大阪市淀川区西中島3-19-8新大阪興業ビル402
代表取締役社長 中本 樹
事業内容 AI技術の活用に関する教育、研修、セミナーの実施。AIを使用した業務改善・効率化のコンサルティングなど
URL https://synqai.jp
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