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テレワーク助成金を活用し、感染予防対策だけでなく、従業員の働きやすさも実現

記事ID:D20001

 コロナ禍を乗り越えるために、中小企業を対象としたさまざまなテレワークの助成金制度が用意されています。厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は、在宅またはサテライトオフィスで就業する中小企業事業主に対し、その実施に要した費用の一部が助成されるというものです。この制度を活用して、いち早くテレワークを導入した福岡県大川市のもりた住機設備株式会社の森田 明子氏にお話をうかがいました。

厚生労働省の「テレワーク助成金」制度は、1企業あたりの上限額が300万円

  • 取締役
    森田 明子氏

     厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は、在宅またはサテライトオフィスで就業する「テレワーク」を導入する中小企業事業主に対し、その実施に要した費用の一部が助成されるものです。「テレワーク用通信機器の導入・運用」「就業規則・労使協定等の作成・変更」「労務管理担当者に対する研修」「労働者に対する研修、周知・啓発」「社会保険労務士などの外部専門家によるコンサルティング」などが対象となり、成果目標を定める必要があります。一企業あたりの上限額は300万円ですが、成果目標の達成状況によって支給額が決定されます(図1参照)。

出典:厚生労働省ホームページ 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

NTT西日本の営業担当者からの声がけにより、テレワーク助成金の活用を決断

 「弊社がこの制度を利用したきっかけは、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、NTT西日本の営業担当者から『今、私たちに何かできることはないですか』とお声がけいただいたことです。弊社は、竹炭・LPガスなどの燃料を取り扱う会社として発足し、現在は福岡県大川市を拠点に住宅リフォーム業を展開しています。事業の拡大に合わせて約2年前に新社屋を建てたのですが、その時は『テレワーク』という働き方さえも知らなかったので、従業員が事務所の外で働くことは考えていませんでした。とはいえ、私は経理担当として、給与計算ソフトやインターネットバンキングを操作するので、事務所のデスクトップパソコンでなければ操作ができない点に不自由さを感じていました」(森田氏)

 同社は、2020年4月に全国で緊急事態宣言が発令されたことをきっかけに、感染予防策として従業員同士が離れた場所で仕事ができないかと考え始めました。「それ以前は、私たちのような現場で業務を行う職種は、テレワークのような働き方はできないと思い込んでいました。そこでNTT西日本の営業担当者に相談したところ、VPN※とネットワークサーバーを導入すれば弊社でも可能だと分かり、すぐにテレワークの助成金を申請しました。いただいた助成金で、新社屋と旧社屋の間にVPNを引き、共有のネットワークサーバーを構築できたので、事務所のデスクトップパソコンだけでなく、社員に配付していたノートパソコンからも社内のデータにアクセスできるようになりました(図2参照)」(森田氏)

テレワークを導入することで、情報共有が円滑になり、休みが取りやすくなった

 「今後、もし感染が拡大した場合には、新社屋に数人、旧社屋に数人、施工現場の担当者は佐賀県の諸富店、残りは在宅勤務という働き方を検討しています。営業の内勤仕事は在宅でもできるため、自宅をオフィスと同じように働ける環境にしたいと考えています。また、諸富店をVPNでつないでサテライトオフィスにすれば、現場に直行する日でも見積作成 のために新社屋へ戻る必要がなくなり、時間を有効活用できます。さらに、家庭の事情で出社できない場合に、どうしてもその日にしなければならない仕事があれば自宅で作業することができます。特に、第一線で働いている営業担当の中には、『会社に来ることが当たり前』というスタッフもいました。彼らが効率的に働けるためにも、在宅勤務の環境は必要でしたので、新型コロナウイルスへの対策は弊社でも働き方を変えるきっかけになったと思います」(森田氏)

 また、同時にネットワークサーバーとしてNTT西日本の「Biz Box Server(OS6)」を導入したことも、業務の大幅な改善につながったようです。
「以前は、お客さまごとの個別情報は担当営業とアシスタントだけがわかるという状況で、社内全体では情報共有ができていませんでした。現在は、ネットワークサーバー上に、現場の写真やお客さまのご要望、提案した3D画像などをアップロードすることで、担当者でなくてもすぐに情報を確認することができます。それによって、以前提案したプランを他の担当者が修正して、再度提案するということもできるようになりました。また、情報共有が進むことで、忙しいスタッフが担当する案件を他のスタッフに振り分けられるようになったので、業務の平準化も進んできたと感じます」(森田氏)

これからは、オンラインのリフォーム相談が当たり前になってほしい

 「今後期待することは、世の中にテレワークや『Zoom』などのオンラインのサービスが広がって、リフォーム相談もオンラインでできるといいですね。緊急事態宣言の間は、『営業の人が何度も家に来るのは感染リスクが高まるから困る』と言われて、先行きがとても不安でした。オンライン相談であれば、図面情報をお客さまと共有しながら、壁紙や床材を変えて好きなものを選べるので、施工前にご自宅へ訪問しなくても設計図が作れるようになると思います。また、同居していない親御さんの家を改修したいというお子さんも増えています。オンライン相談でお子さん、ご両親、弊社の三者で同時に情報共有ができれば、短時間で意思決定ができ、スムーズに工事に取りかかることができます」(森田氏)

  森田氏は、現在テレワークの助成金申請を迷っている方に、現場での業務が多い業種でもテレワークが実現できることを伝えたいと語ります。「弊社のようなスタッフの少ない小さな会社でも、助成金を活用すれば負担なくテレワークを導入できます。自宅やサテライトオフィスで事務所にいるのと同じように仕事ができると、コロナウイルス感染予防策になるだけでなく、従業員の働きやすさが大幅に向上すると思います」(森田氏)

※ VPN: Virtual Private Networkの略で、インターネット上に仮想的なプライベートネットワーク(専用線)を設けて、セキュリティ上の安全な経路を使ってデータをやり取りする技術。

会社名 もりた住機設備株式会社
設立 1968年(昭和43年)10月5日
本社所在地 福岡県大川市酒見517
代表取締役 森田 哲二
資本金 2,000万円
事業内容 リフォーム、オール電化、太陽光発電、メンテナンス事業、シロアリ予防など
URL http://883333.jp/

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