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-株式会社NTTe-Sports- eスポーツで社内運動会!?ニューノーマル時代の新たなコミュニケーション
記事ID:D10018
コロナ禍でテレワークが進み、企業でも社内のコミュニケーション不足が問題となっています。このような状況の中、株式会社NTTe-Sportsがeスポーツを通じて職場や団体のコミュニケーションの活性化を図る「eスポーツ×社内レクパッケージ」を開発し、話題となっています。今回は同社代表取締役副社長の影澤 潤一氏に、eスポーツ事情や同パッケージ商材について話をうかがいました。(ぷよぷよeスポーツ ⒸSEGA)
右肩上がりで規模を拡大する国内のeスポーツ市場
代表取締役副社長 影澤 潤一氏
eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、囲碁や将棋などをマインドスポーツと呼ぶのと同様に、競い合い、成績を追求する点で似通っているとして、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツとして捉える際の名称とされています。近年では高校生の全国大会が開かれるなど、新たなスポーツ、新たなカルチャーとして認められています。
eスポーツという言葉が使われ始めたのは2000年頃。その後、世界的な流行から少し遅れを取っていた日本では、2018年にeスポーツ団体を統合した「日本eスポーツ連合(J eS U)」が発足し、2019年には「いきいき茨城ゆめ国体」において国体史上初となるeスポーツ大会が開催され、認知度が一気に高まりました。
ゲーム総合情報メディア『ファミ通』によると、2020年の国内eスポーツ市場規模は前年比10 9%の6 6 . 8億円となっています。また、2020年の日本のeスポーツファン数は、大会やイベントのオンライン化による配信数や視聴時間の増加に伴い、前年比142%の686万人と見られ、国内eスポーツ市場は2021年には86.8億円、2023年には150億円を超えると予想されています(図参照)。
地域の活性化を目指してスタートしたeスポーツ事業
eXeField Akibaで行われた社内レクリエーションイベント。オンラインで参加した同僚に会心の勝利(ぷよぷよeスポーツ ⒸSEGA)
株式会社NTTe-Sportsは、eスポーツを通じた世代を超えたコミュニケーションの活性化、地域社会と経済活性への貢献を目的に、2020年1月に設立されました。同社の影澤 潤一氏は「日本全国の方々がeスポーツの話題を耳にする中で、多くの自治体や企業、団体の皆さまからeスポーツを活用した地域の活性化、特に世代を超えたコミュニケーションの活性化に活用できないかといった話が出ました。そこでeスポーツにNTTグループのICTを活用すべく、事業をスタートさせました」と、設立の背景を振り返ります。
設立当時は東京五輪の直前だったこともあり、さまざまなイベントが予定され、取材も殺到して注目を集めていましたが、コロナ禍によりイベントは軒並み中止や延期になりました。設立してすぐに冷や水をかけられた状況ではあったものの、eスポーツはオンライン環境でも全国各地をつないだイベントの開催や映像配信による観戦が可能なため、一部のイベントは規模を縮小しながら開催されました。
その後、同社は秋葉原UDX内に高品質なネットワークや最先端のICT を活用した、交流施設「eXeField Akiba(エグゼフィールド アキバ)」を開業し、全国各地のオンラインイベントの映像配信スタジオとして利用しています。さらにeスポーツイベント以外にも、セミナーや懇親会、試作品の実証、新製品の展示・販売など、幅広く利用できる施設となっています。影澤氏は「秋葉原はサブカルの聖地的な場所ですので、そこに拠点を構えることができたのは大きいですね。従来のゲームセンターのイメージを払拭する、明るく開放感のあるスペースですので、多目的な利用が可能です」と、語ります。
ニューノーマル時代の社内レクリエーションをサポート
社内レクリエーションのMC席。司会進行と実況・解説でイベントを盛り上げる
コロナ禍においてテレワークを導入する企業が増えていますが、一方では社員のコミュニケーション不足が問題になっています。同社が提供する、eスポーツにより企業や組織内での親睦を深めるためのレクリエーションパッケージ「eスポーツ×社内レクパッケージ」は、この問題を背景に誕生しました。
「リモート会議などで仕事は回っても、オフィスの休憩室などでするような仕事以外の立ち話は困難です。それにより部署内のコミュニケーションが不足し、従業員の帰属意識が希薄になる、あるいは仕事に対するモチベーションが低下してしまうなどの問題が出てきました。かつて、企業では社内コミュニケーションの活性化を図るために、社員旅行や社内運動会を開催していましたが、コロナ禍でそのようなイベントは激減しました。そこで、オンラインで何かできないかという声が高まり、オンラインでeスポーツ大会を開催するパッケージ商材を開発したわけです」(影澤氏)
このサービスは、同社がイベントを企画・運営してきたノウハウを基に、進行や通信環境の確認、機器操作など、企業のeスポーツ大会(社内レクリエーション)運営を全面的にサポートするというものです。参加者は、イベントの拠点となる「eXeField Akiba」のほか、自宅や職場からインターネット経由でのゲーム参加となりますが、ゲーム画面や実況・解説の模様はYouTubeなどへ配信されることで、誰でも、どこからでも楽しめるようになっています。
実際に大会を開催した感想として、影澤氏は「かつての社内レクリエーションは、幹部層が牽引し、若手は乗り気ではない傾向がありました。ところがeスポーツでは、若手が引っ張ってくれます。また、家族が参加する場合、大人と子どもが一緒に楽しめることもメリットでしょう」と、eスポーツを利用した社内レクリエーションならではのメリットについて語っています。現在、eXeField Akibaを拠点に活動していますが、将来的には「eスポーツ×社内レクパッケージ」を全国の企業・団体に向けて展開する構想もあるといいます。
「全国展開とはいっても、私どもが地方に出向くのではなく、全国の企業と共創・連携して事業展開するような方法を考えています」(影澤氏)
広がるeスポーツの可能性
同サービスは、企業のコミュニケーション不足解消を目的としたものですが、影澤氏は「近年は不登校をサポートするフリースクール※にeスポーツが導入され、コミュニケーションのきっかけとして活用され始めています。さらに、『eスポーツがフレイル(虚弱)予防に効果がある』との科学的根拠が得られれば、レクリエーションを超えた高齢者の健康のためのツールとして、老人福祉施設などへの導入も考えられるでしょう」と言います。このように、eスポーツには社会貢献を目的としたさまざまなシーンでも活用される可能性が感じられ、今後の動向が注目されます。
※ フリースクール:不登校の小中高生が学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所のこと。
「YouTube」、YouTubeロゴは、Google LLCの商標です。
会社名 | 株式会社NTTe-Sports |
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設立 | 2020年(令和2年)1月31日 |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿3-19-2 (東日本電信電話株式会社社屋内) |
代表取締役社長 | 中村 浩 |
資本金 | 3億円 |
事業内容 | eスポーツに関するイベント企画・請負、施設企画・運営、ICTソリューションの提供 など |
URL | https://www.ntte-sports.co.jp/ |
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