ICTソリューション紹介

-NTTビジネスソリューションズ株式会社-
危機的状況にこそ省人化、省力化で正しい判断を中小企業が取り組むべき「防災DX」

記事ID:D10035

地形や気候に特徴のある日本は、海外に比べて豪雨や台風、大雪、地震、津波、火山噴火などの自然災害が発生しやすいため、企業は被災時の業務継続、早期復旧のための備えが必要です。昨今では、そうした災害に備えるためICTを活用した「防災DX」が注目されていますが、中小企業が取り組むべき防災DXについて、NTTビジネスソリューションズが展開する防災ツールの企画・販売に携わる成瀬 友麻氏に話をうかがいました。

緊急時の行動指針BCP策定の大切さ

バリューデザイン部
コアソリューション部門
マネージドIT担当 成瀬 友麻氏

 内閣府は、災害など緊急事態における企業の事業継続計画「BCP(Business Continuity Plan)」の策定を推奨しています。NTTビジネスソリューションズで企業や自治体向けの防災DX開発・提案を行う成瀬氏は「BCPの策定状況は大企業が先行していて、中小企業はなかなか手が及んでいません」と話します。

 「中小企業は、まだまだBCP策定の必要性を感じない、もしくは必要だと思ってはいるもののコスト捻出がネックとなり対応していないケースが見受けられます。しかし、2020年に新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限により、事業の継続が困難な状況になった企業も多く、パンデミックも災害として捉えられ、意識が変わりつつあります。そして、同年7月にみずほリサーチ&テクノロジーズが行った調査では、BCP策定済み企業の約80%がBCPの見直しが必要だと回答するなど、BCP策定の重要性を感じる企業は増えています」(成瀬氏)

 それでは、企業がBCPを策定する上で、対策をどのように考え、実行する必要があるのでしょう。成瀬氏は「防災対策の基本は、情報収集と共有、素早い状況把握、対策の検討・実行です」と要点を示しつつ、「企業の大小を問わず陥りがちな状況」を挙げます。

 「防災対策について、アナログな手段で実行する企業が多いことは、最初に改善すべき大きな問題です。例えば、災害時に社員の安否確認を社員一人ひとりに電話をかけて行う企業がまだまだあります。これでは確認作業が非効率で、時間をかけているうちに状況が変化する場合もあります。次に事業所や工場の状況を、近くの社員に足を運ばせて確認するケースがあります。これもまた災害の大きさによっては二次災害に巻き込まれる危険性が高く、推奨できません。また、自然災害が発生した際には気象情報の細かな把握も重要ですが、情報収集のために社員をテレビの前に張りつかせる行動も非効率で、ほかの効率的な情報収集手段を考えるべきです」(成瀬氏)

お手軽なデジタルツールで企業の防災DXを推進

 アナログな防災対策をICTで省人化、省力化する防災DXは「感染症による事業への影響を実感したことで、飛躍的に浸透しました」と成瀬氏は話します。

 「緊急事態宣言時に『MicrosoftTeams』などのミーティング/チャットツールでリモート会議が行われるようになり、社員が在宅でも業務を継続できる環境が整えられました。チャットツールは、インターネット回線を用いてメッセージ投稿や通話が可能なので、災害時に電話回線がつながりにくい状態でもやりとりしやすい環境を整えられ、安否確認を行う上で重宝します。なお弊社でも、ビジネス専用チャットツール『elgana』を販売していますが、安否確認ツールと組み合わせると、メール、電話、チャットで安否確認を一斉送信できる機能が付加できます」(成瀬氏)

 このほか、豪雨や台風の情報についても、「テレビを見続けるアナログな行動から脱し、デジタルツールで必要な情報だけを受け取る防災DXを実現できます」と成瀬氏は話します。

 「日本気象協会の『tenki.jp』のほか、『ウェザーニュース』『Yahoo!天気』『HalexSmile!』など民間のアプリも多数あります。これらのアプリは事業所の住所を登録することで、その場所の1時間ごと、サービスによっては5分ごとの細かな気象情報が確認できます。また、台風接近時は適時更新される最新の進路予想が確認できたり、周囲に発令された避難警報をスマホのアラート機能で受け取ることができるなど、早い段階から防災対策の判断・実行にも役立つ情報が容易に得られます」(成瀬氏)

AIを悪用したデマ情報の真偽をAIで解析

 防災DXを進める上で、成瀬氏は「最近は、デジタル技術が引き起こす混乱への対策も考慮しなければなりません」と指摘します。

 「2022年に静岡県で大規模水害が発生した際、住居が水没しているように見えるフェイク画像が画像生成AIで作られました。事実誤認した人たちによって、この画像がTwitter(現在のX)で1万件以上拡散され、報道番組でも取り上げられるなど被災状況の確認・対応に混乱を招きました。最近は、『ChatGPT』など生成AIの発達も目覚ましく、このようにAIを悪用した真偽の見極めが難しい精巧な情報発信も増えています。こうしたデマの拡散によって引き起こされる問題に備えることもBCP対策には重要です」(成瀬氏)

写真①:「Spectee Pro」は、AIがSNSから災害に関する投稿を自動収集・検証。正確な情報だけを地図に被災場所とリンクさせて表示し、刻一刻と変わる状況を俯瞰して確認できる

 企業の判断にも影響を与えかねないデマ情報の見極めにも、AIが活用されています。

 「例えば、写真や映像が投稿されたSNSの情報をリアルタイムに収集する企業向けツール『Spectee Pro』(写真①参照)は、情報の真偽をAIで解析して、災害対策に必要な情報を整理・配信します。これは開発者の東日本大震災での経験をきっかけに、メディア発、現場発の情報のほかに、SNS発の情報を災害対策に役立てることをめざして開発されたサービスです。こちらも『elgana』と連携させることが可能で、SNSなどの情報と『elgana』からの投稿を合わせて表示、災害時でもより安定した回線で効率的に情報共有できます」(成瀬氏)

 同サービスはNTT西日本でも活用(写真②参照)され、今年初夏に沖縄を襲った台風時にも「事業復旧作業の判断・対応を行う上で助かった」と言います。

写真②:今年の台風2号により被災した沖縄の事務所の状況を、「elgana」と連携させた「Spectee Pro」で確認するNTT西日本の社員たち

 「先日、NTT西日本の沖縄の事業所が台風2号により被災した際にも役立ちました。社員からの投稿やSNSに次々上がる被害状況に関して、確かな情報が対策室のディスプレイに一件一件表示され、それを見ながら社員は『どの地域にどれくらいの人員を復旧に向かわせるか』を的確に判断できました」(成瀬氏)

 このように、災害発生時に「人」と事業所など「モノ」を守る防災DXが、効率的な安否確認、正確な情報収集・共有へと進化してきていることを紹介しました。ただし、安否確認や情報収集・共有を可能にする通信手段として、固定の電話・インターネット回線だけでなく、スマホなど携帯端末による通信(音声、モバイルデータ通信、Wi-Fi)など、複数の手段を確保しておくことや、事業再開に重要な「システム」や「データ」を守るためのバックアップやクラウド化なども、忘れずに押さえておきたいポイントです。また成瀬氏は「今後は過去の被災データから災害を予測し、未然に被災を防ぐツールが確立される」と、さらなる進化を予想します。異常気象による被害は、今後ますます深刻になっていくことが予想される中、進化し続ける防災DXの導入を前向きに考えていきたいものです。

会社名 NTTビジネスソリューションズ株式会社
設立 2013年(平成25年)10月
本社所在地 大阪府大阪市北区大深町3-1
代表取締役社長 北山 泰三
資本金 1億円
事業内容 ビジネスユーザーへの情報通信システム提案、構築、サポート業務など
URL https://www.nttbizsol.jp/
〔ユーザ協会会員〕
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