ICTソリューション紹介

-シヤチハタ株式会社-
テレワーク普及において課題となる“ハンコ出社”をICTで解決

記事ID:D10012

業務フローはそのままで回覧と承認作業の大幅な効率化を実現

現在、多くの企業が「ICTの導入」を通じた業務効率化を進めていますが、「紙と印鑑」によるアナログ決裁は、業務フローの中でいまだ主要な位置を占めています。このアナログ決裁を、手間なくデジタル化する『シヤチハタクラウド』とは、どのようなものでしょうか。シヤチハタ株式会社システム法人営業部の小倉 隆幸氏に、その内容をうかがいました。

コロナ禍の中でも浮き彫りになった“ハンコ文化”の非効率性

 我が国の企業の多くには、いわゆる“ハンコ文化”、つまり紙の文書を回覧し、承認印を押す業務フローが広く根づいてます。
 この業務フローはそれぞれの押印により「誰と誰が文書を見て、承認したのか」が分かりやすいというメリットや、印鑑という“モノ”を使うため、たとえば決裁権者がその場にいなくても、その者の了解のもとに代理の者が押印できるという利便性もあります。
 しかし「紙と印鑑」というアナログな方式をとることにより、文書の回覧に時間がかかること、決裁者が外出や休暇を取っている時は文書の回覧がストップしてしまうこと、さらには文書を紙で出力することに手間やコストがかかるなど、デメリットも少なくなりません。
 さらにコロナ禍では、人と人との接触をできるだけ少なくするため、テレワークによる勤務が推奨されていますが、こうした文書への押印が業務フローとして残っている企業では、そのための“ハンコ出社”が避けられません。実際に東京商工会議所が会員企業を対象に行ったアンケートでも、「書類への押印対応」が、「社内のコミュニケーション」と並び、テレワークを継続実施する上での課題として上位に並んでいます(表1参照)。

システム法人営業部
部長 小倉 隆幸氏

 つまりこうしたアナログ方式の「紙の文書への押印」をなくすことができれば、決裁にかかる時間の短縮、手間やコストの削減に加え、テレワークの円滑な導入と継続が実現できることになります。そうしたソリューションの一つが、「紙の文書への押印」を「ファイルへの電子的な押印」に切り替える『シヤチハタクラウド』です。

小倉氏 『シヤチハタクラウド』は、クラウドを活用し、PDFファイルに「電子印鑑」を押印する仕組みを提供します。インターネットに接続できるパソコンやスマートフォンがあれば、いつでもどこでも決裁が可能となり、業務の効率化が実現します。

回覧・承認の業務フローはそのままに、デジタル化を実現

 では、『シヤチハタクラウド』を利用した業務フローは、どのようになっているのでしょうか。

小倉氏 申請者は、まずシステムにログインし、承認を必要とするファイルをアップロードします。利用可能なファイル形式はWord、Excel、PDFで、WordとExcelはアップロード後に自動的にPDFに変換されます。アップロードが終了したら、電子印鑑を選択し押印したのち、宛先となるメールアドレスを設定し、送信します。回覧先に届くメールには、ファイルの所在を示すクラウド上のURLが記載されているので、受信者はそのURLからログインし、ファイルを確認したのち、電子印鑑を押印して承認します。回覧設定で複数名が回覧先に指定されている場合は、こうした承認作業が繰り返し行われますが、申請者はファイルの承認がどこまで進んでいるのか、いつでも確認できます。すべての承認者が電子印鑑を押印すれば、改めて申請者に通知されるというのが基本的な流れになり、すべてインターネット上で完結します。

 そして『シヤチハタクラウド』は、承認の手続きが「紙の回覧と押印」から「クラウドでの回覧と押印」に変わっただけで、「回覧と押印を通じ承認する」という業務フローそのものは、これまでのものを踏襲しているところもポイントです(図1参照)。

小倉氏 私たちは1995年(平成7年)に電子印鑑サービスを発売した当初から「BPS」、つまり「ビジネス・プロセス・そのまんま」をキーワードとして訴求しています。新たなICTを導入する時、利用者を集めての勉強会や、マニュアルを配布して使い方の周知を図ることが一般的です。しかし私たちは、そうした勉強やマニュアルなしに、誰もが違和感なく業務をデジタル化し、その恩恵を受けることができることを最重要視しているのです。『シヤチハタクラウド』では、個人の電子印鑑のほか、共用印も登録できます。また請求書に押印するような会社の角印は、共用印として権限のあるユーザーがそれぞれで使うことができます。

電子印鑑が持つさまざまな情報がセキュリティを担保

 さらに、『シヤチハタクラウド』には、従来の「紙の文書への押印」という業務フローにはない、いくつかのメリットがあります。

小倉氏 『シヤチハタクラウド』の電子印鑑では、氏名印、日付印など、こちらがご用意したフォーマットを利用した汎用の印鑑のほか、会社の角印など、お手持ちの印鑑を電子化したものもご利用いただけます。ただ、押印に使えるのは、管理者がそれぞれの利用者向けに登録した印鑑だけで、利用者が勝手に印鑑を登録し押印することはできません(画面1・2参照)。さらに、押印された電子印鑑には、押印した人が誰で、いつ押印したかという情報が含まれているため、押印後でもその正当性が確認できます。特に角印など共用印を紙に押印する場合、「誰が押したのか」が不明確となる可能性があります。『シヤチハタクラウド』ではそうした部分も明確になるため、セキュリティにおいて大きなアドバンテージとなります。また、上位プランでは一部のファイルを社外秘としつつ、社外の取引先とファイルを回覧する仕組みもご用意しています。この時、取引先が『シヤチハタクラウド』とご契約いただいてない場合でも、電子印鑑の承認フローにご参加いただくことできます(図2参照)。

無料トライアルを用意 月額料金も低廉

 さて、新たなサービスを導入する時、「果たしてそのサービスが、自社の業務においてきちんと機能するか」が気になるところです。

小倉氏 重要な業務について、基幹システムと連携した電子決裁を導入している会社でも、部署レベルでの決裁にはWordやExcelで作ったファイルを紙に出力し、回覧し押印するフローが残っているところが少なくありません。『シヤチハタクラウド』は無料のトライアル期間を用意していますので、そうした会社で試していただければ、これまでのプリントアウトをクラウドでの回覧に移行するという“手間のない業務効率化”が実際にご体感いただけると思います。

 そして正式に利用する場合でも、初期費用は不要で、月々の費用は利用する印面数(利用者ごとに使う印鑑数の合計)を基に、低廉な価格に抑えられています(表2参照)。

小倉氏 プランは「スタンダード」と「ビジネス」の二つを用意しています。主に社内での承認業務の合理化、効率化が目的なら「スタンダード」が、取引先との契約も含んだご利用であれば「ビジネス」がおすすめです。

今後も利用者の声を取り入れ、さらなる進化を継続

 『シヤチハタクラウド』は、そのルーツとなった『パソコン決裁』の時代から20年以上にわたり、利用者の声を取り入れ進化、機能を充実させてきました。その方針は今後も変わりなく続けていくとのことです。

小倉氏 現在、ファイルの保管日数は366日で、上位プランでは社外ストレージサービス『Box』との連携のほか、別のストレージサービスに承認済みファイルを移動する仕組みも設けています。ただ、お客さまからは「より長期の保管を」という声をいただいていることから、有料のオプションとして保管期限の延長を導入する予定です。また、現状ではWordやExcelのファイルはPDFに変換されて回覧されますが、「ファイル形式をそのままで回覧したい」という声も寄せられており、今後はそうした機能への対応も考えています。

 紙の書類への押印が決裁のスピード化を阻んでいる、テレワーク下でも“ハンコ出社”を余儀なくされている企業の皆さん、クラウドを活用した電子決裁システムの導入で、そうした課題の解決に取り組んでみてはいかがでしょうか。

電子印鑑の「真正性」を認める電子署名法とは

 紙に押された印鑑は、その印影から「印鑑の所有者が押印したもの」と推定できます。また「印鑑登録」という、その印鑑が本人(個人もしくは法人)であることを証明する制度も用意されています。さらに、一旦押印された印鑑は、容易には改変できません。
 しかし、電子ファイルにおける印影や署名は、アナログの文書に比べコピーや改ざんが容易であることから、そのままでは契約や取引における信頼性、安全性の確保が困難です。こうした欠点を補うため、2001年4月に施行された法律が、「電子署名法」です。
 電子署名法では、「本人による一定の条件を満たす電子署名」がなされている時は真正なものと見なすこと、そして一定の基準を満たす事業者は国から「電子署名が本人のものであることなどを証明する業務」の認定を受けることができることなどが定められています。
 こうした仕組みの導入で、電子署名がなされた電子ファイルでも、作成者が本人であり、またファイルの内容が改ざんされていないことを前提に、安心して契約や取引ができるのです。

会社名 シヤチハタ株式会社
創業 1925年(大正14年)1月
本社所在地 愛知県名古屋市西区天塚町4-69
代表取締役社長 舟橋 正剛
資本金 1億円
事業内容 スタンプ台・筆記具・インク浸透印の製造・販売など
URL https://www.shachihata.co.jp/
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