ICTソリューション紹介

-独立行政法人 中小企業基盤整備機構-
中小企業のデジタル化をサポートする中小機構のさまざまな支援サービス

記事ID:D10054

年々深刻化する人手不足、急速に変化する市場環境の中で企業が生き残っていくためには、デジタル化の推進が必要不可欠です。しかし、中小企業や小規模事業者の中には、日々の業務に追われて、デジタル化が進まないというケースも数多く存在しています。そこで、中小企業の経営課題の解決支援などを行う公的機関、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)の佐藤 誠也氏に、デジタル化推進における効果的な取り組みについてうかがいました。

中小機構の新ポータルサイト「デジwith」がオープン

経営支援部 連携支援課
課長代理 佐藤 誠也氏

 中小機構がまとめた「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」によると、ほぼ半数の事業者がデジタル化を「理解している」「ある程度理解している」と回答しました。さらに、そのうちの73.2%が、デジタル化を「必要だと思う」「ある程度必要だと思う」と答えました。しかし一方で、「必要だと思うが取り組めていない」「取り組む予定はない」と回答した事業者の割合も58.0%に上り(図参照)、特に従業員規模20人以下の小規模事業者に限っては、74.5%から取り組みに消極的な回答が寄せられました。デジタル化に関して中小企業や小規模事業者が抱える課題を、佐藤氏は次のように語ります。

【図:DXの取り組み状況について (n=1,000 単一回答)】
出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構

 「調査では50.2%の企業が『人材が足りない』と回答し、人材不足からデジタル化に取り組みにくい傾向が示されました。また、『具体的な効果や成果が見えない』など、不透明感を感じている企業も多く見られました。さらに、小規模事業者の18.7%が『何から始めてよいのか分からない』と答えています。デジタル化への理解不足から漠然と高いハードルを設けてしまい、なんとなく第一歩を踏み出せない企業も多いと推察しています」(佐藤氏)

 中小機構は国の中小企業政策の中核的な実施機関として、中小企業や小規模事業者が抱える悩みを、幅広い支援メニューでサポートしています。デジタル化支援もその一環で、デジタル化で経営課題の解決を目指す中小企業や小規模事業者と、事業者に寄り添う支援機関をサポートしています。そして2025年の4月、同機構は事業者や支援機関のデジタル化を後押しするポータルサイト「デジwith」をオープンしました。

 「『デジwith』は、中小企業のデジタル化へのきっかけ作りから課題解決のための最適なITソリューションの提案、導入・運用までを一貫してサポートする、無料のポータルサイトです。これからデジタル化に取り組もうとしている事業者から、ある程度デジタル化の方向性が見えている事業者まで、各社のフェーズや目的に合わせて多様な支援メニューを提供しています」(佐藤氏)

自社の現状が把握できたり方向性を示してくれる

 「デジwith」には、デジタル化の入口に立ったばかりで「何から始めてよいのか分からない」と悩む事業者向けに、自社のデジタル化の状況を同業他社と比較して、今後のIT導入に向けた道筋を提示してくれる「IT戦略ナビwith」があります。また、業種・目的別にビジネスアプリや他社の導入事例などが検索できる「ここからアプリ」、ネットショップの販売成功のヒントが得られる「ebiz(イービズ)」があり、目的別に経営課題の解決に役立つ情報が得られるようになっています。
 さらに、実務経験が豊富なITの専門家と、1回6 0分単位で何度でも無料相談ができるオンライン面談サービス「IT経営サポートセンター」や、デジタルツールの導入を支援する「IT導入補助金」といった、デジタル化の方向性が見えている事業者にとって、実用性の高い支援メニューも紹介されています。
 佐藤氏は、まだデジタル化に踏み出せていない事業者は、まず「IT戦略ナビwith」を活用して、自社のデジタル化のきっかけ作りに役立ててほしいと語ります。

 「『IT戦略ナビwith』は、5分程度の簡単な設問に答えるだけで、その事業者のデジタル化に向けた経営課題や取り組みの方向性などを具体的に提示してくれるサービスです。まずは『同業他社比較マップ』(画像参照)で、同エリアの同業他社と比べて自社のデジタル化が進んでいるのか遅れているのかを、中小機構が保有する約9万件の企業データと比較対照して、『経営意識』『IT必要性認識』『IT基礎環境』『IT積極活用意識』の観点から判定してくれます。設問も『自社の経営戦略や経営計画を立案している』『自社のIT環境は、ウイルスなどセキュリティへの対策ができている』など、すべて簡単な『あてはまる』『ややあてはまる』『あまりあてはまらない』『あてはまらない』の選択による回答方式ですので、気軽に利用できます」(佐藤氏)

【画像:「デジwith」内の「同業他社比較マップ」の画面】
経営意識、IT必要性認識、IT基礎環境、IT積極活用意識の4項目に分かれ、それぞれ自社の立ち位置が一目で理解できるようになっている「同業他社比較マップ」

 そして、次のステップ「I T戦略マップ」では、自社の経営課題や業務上の問題点などを見える化し、どのようなデジタル化の道を歩めばいいのかを示してくれます。

 「『現在の経営課題』『業務上の問題点』『具体的に取り組みたいこと』などの設問に回答することで、『IT活用』『業務』『経営』『戦略』の四つの視点で、ビジネス成功に向けた道筋が示されます。『IT戦略ナビwith』の利用には企業情報の登録も不要ですので、簡易自己診断ツールのイメージで気軽に利用してみてください。『IT戦略ナビwith』で自社の経営課題や最適なITソリューションを把握した上で、『ここからアプリ』や『ebiz』などの目的別支援メニューを活用することによって、より実践的なデジタル化の推進が期待できます」(佐藤氏)

支援機関と二人三脚でデジタル化に取り組みたい

 中小機構では無料の「デジwith」のほかにも、中小企業のデジタル化を深く支援する有料のサービスを展開しています。例えば「ハンズオン支援事業」では専門家を一定期間事業者に派遣して、デジタル化の検討から、導入・運用などに対するアドバイスを行っています。派遣期間も各社の状況に合わせた柔軟な対応が可能で、支援終了後も事業者が自立的・持続的に成長可能な仕組み作りをサポートしています。
 また、中小企業の人材育成をサポートする「中小企業大学校」では、デジタル化を含む経営課題の解決に向けた多彩な研修プログラムを設けています。少人数オンライン研修サービスも実施しており、場所を選ばず受講ができます。
 中小機構が提供するこれらの支援サービスは、予算不足や人材不足に悩む中小企業にとって、非常に有効であると考えられますが、その第一歩として「デジwith」を活用する際に、佐藤氏は次のように取り組むことを推奨しています。

 「現在『デジwith』の各種メニューは、事業者が直接活用しているケースと、地域の商工会・商工会議所や金融機関、税理士などの支援機関が顧客支援のために利用するケースがあります。しかし、特に従業員が20人以下の小規模事業者では、経営者自体も現場の業務に関わるケースも多く、多忙のためにデジタル化に着手できていないこともあります。そのような場合には、支援機関の協力を得て二人三脚で取り組まれると、より効果的にデジタル化の第一歩が踏み出せるのではないでしょうか」(佐藤氏)

 市場環境が激変する中、中小企業が生き残るためにはデジタル化が欠かせません。そのための第一歩として、「デジwith」は有効なサービスだと言えそうです。

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組織名 独立行政法人中小企業基盤整備機構
設立 2004年(平成16年)7月1日
本部所在地 東京都港区虎ノ門3-5-1虎ノ門37森ビル
代表者 宮川 正
事業内容 国の中小企業政策の中核的な実施機関として、地域の自治体や中小企業支援機関と連携しながら中小企業・小規模事業者の成長をサポートしている
URL https://www.smrj.go.jp/

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