ICT導入事例 -株式会社北一商店-

複雑な受注・在庫管理を他業種用システムで解決 営業先や工事現場からも情報の活用を可能に

畳資材商社の老舗・株式会社北一商店は、茶殻を使った「さらり畳」の開発など、畳活用の可能性を広げることに取り組んでいます。ICT活用にも早くから取り組み、膨大な商品アイテムと複雑な業務の流れを管理するために活用したのが、鉄鋼資材管理用のパッケージソフトでした。現在はこれを基幹システムとして受注・在庫管理を効率化するとともに、営業スタッフが外出先からタブレットで営業情報・顧客情報を活用できるように連携させています。

  • 【導入の狙い】膨大な商品アイテムと複雑な業務の流れを管理して効率化したい。
  • 【導入の効果】受注・在庫管理が自動化できるようになり、営業・顧客情報も連携できる。

クラウド形式のグループウェアを活用した「受注・在庫管理システム」と「営業情報共有システム」

多様な材料と多くの工程で作られ再利用される日本独自の建材「畳」の総合商社

株式会社北一商店は1916年(大正5年)に創業した畳資材の総合商社です。建材メーカーや全国の畳店などと取引する一方、自社工場での製造や取付・敷込などの工事も請け負っています。また、2003年(平成15年)に茶殻やカテキンを使った「さらり畳」を大手飲料メーカーと共同開発したり、和紙を使った畳表などアイデアに富んだ新製品も次々に開発して注目されている企業です。

畳一枚の大きさは地方によって異なるため、同社の取り扱う製品はアイテム数だけで8,000項目。産地・畑・買取時期で品質が変わる原材料のイ草などは細かくロット管理されているため、実際に取り扱う商品や素材のデータは数十万単位になります。また、畳の性質上、設置して何年か経過してから張替資材の問い合わせが入るため、以前は手書き台帳と担当者の記憶で対応していました。このため、時間がかかる割に不正確な対応になり、顧客に迷惑をかけることもありました。倉庫や工場ごとで行ってきた在庫の棚卸作業も、3日間の泊まり込みが当たり前という状況で、大きさや色のバリエーション別の細かな分類で管理することもできていませんでした。


▲茶殻やカテキンを使用した「さらり畳」(左)やカラフルな畳縁を使用した畳(右)などアイデアに富んだ新製品を開発▲茶殻やカテキンを使用した「さらり畳」(左)やカラフルな畳縁を使用した畳(右)などアイデアに富んだ新製品を開発
▲茶殻やカテキンを使用した「さらり畳」(左)やカラフルな畳縁を使用した畳(右)などアイデアに富んだ新製品を開発

数十万アイテムの畳資材を管理するために鋼材卸業界のパッケージソフトが貢献

▲豊富なバリエーションを取り揃えた畳表のサンプルカタログ

▲豊富なバリエーションを取り揃えた畳表のサンプルカタログ

▲工事部部長・松永 敬介氏

▲工事部部長・松永 敬介

この膨大な在庫管理、ロット管理をICTで効率化するため、山形社長の陣頭指揮の下でシステム化を推進したのが工事部門責任者でもある松永氏でした。

「早期導入したオフィスコンピューターだけで膨大な資材情報を管理するのは限界がありました。そこで、出入りのベンダーに提案されたのが、鋼材卸業界で使用されているソフトをカスタマイズし、基幹システムにすることでした。2005年に導入したこのシステムにより、受注・在庫・出荷管理の精度アップとトレーサビリティ※1を強化できました。棚卸も2日間の勤務時間内の稼働だけで済み、商品管理も細かく設定できるようになったのです」(松永氏)

この基幹システムは、当初は自社にサーバーを置く「オンプレミス」※2方式で運用していましたが、停電により数日使えなくなるという事故を経験したことで、2014年以降、ベンダーのデータセンターにあるサーバーとVPN※3で結ぶ「クラウド」方式で運用されています。


全国を回る営業スタッフの“働き方改革”在庫確認や受注処理もタブレットから

2014年にクラウド方式へ切り替えるタイミングで、基幹システムはバージョンアップされ、Windowsタブレットも多数導入しました。これにより業務のやり方が一番変わったのは、全国の得意先を回っている営業スタッフでした。商談中の客先や宿泊先から基幹システムにアクセスして在庫状況や顧客情報などを確認でき、受注もオンラインで処理できるようになったのです。

「今までは価格設定や取引条件を各営業スタッフの自己判断で決める個人商店のような働き方でした。受注案件の処理は出張先から帰社してから行うか、電話やFAXで社員に内容を伝えて処理してもらっていました。しかも引越が多い春先やお盆・正月などの繁忙期には受注が集中し、混乱しがちでした。それがリモートで、オンタイムで正確に処理でき、伝票も自動で出力できるようになりました。その結果、受注から出荷までの日数が最大で1週間も短縮され、営業活動にゆとりが生まれました」(松永氏)

さらに営業スタッフの働き方を変えたのは「顧客創造日報」の導入でした。細かい情報まで入力できるようにした商談記録や顧客情報、クレームなどが蓄積されることによって、情報が「見える化」され、営業部門内での情報格差がなくなり、引継ぎに伴う時間的ロスもなくなったのです。

▲煩雑だった在庫管理、ロット管理もICTで効率化できました▲煩雑だった在庫管理、ロット管理もICTで効率化できました
▲煩雑だった在庫管理、ロット管理もICTで効率化できました

意識や風土の改革にもICTは効果的コストを考えながら使い、本業に邁進したい

▲畳の良さを評価してくれる人たちのためにも畳の文化と産業を守り続けます
▲畳の良さを評価してくれる人たちのためにも畳の文化と産業を守り続けます

「業務の現場でのICT活用が自分たちの仕事を変え、事業の可能性を広げていることが見えるようになり、社員たちの意識も変えています。自分たちで、何ができたら便利かを考える風土を目指したいのです」(松永氏)

松永氏がICT活用を進める上で注意していることは「顧客情報などのセキュリティ管理」「データ入力時などに発生するヒューマンエラー」「過剰になりがちなチェック」です。過剰になりがちなチェックというのは、集計データなどを逐一出力して確認するような作業のことです。プリントの出力量が増え、残業時間も増加する恐れがあります。

「意識や風土の改革にもICTは効果的です。ホームページを見やすくリニューアルしたり、ショップサイトから受注できるようにするなどの改善は完了しました。今後やりたいこと、できることはたくさんあります。ただ中小企業ですからコストとの兼ね合いを考えながら段階的に進めなければなりません。本業における使命は畳の文化と産業を守ることです。国内市場は縮小していますが、インテリアの専門家や海外で畳の良さを評価してくれる人も増えています。これからも情報発信力を高め、社是にもある『畳にできること、もっと』をカタチにして提案することに全力を注ぎます。そのツールとしてICTを使いこなしたいですね」(松永氏)


  1. ※1 トレーサビリティ:跡をたどることができるという意味。食品の安全を確保するために、原材料の栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にすること。また、その仕組み。
  2. ※2 オンプレミス:サーバーやソフトウェアなどの情報システムを使用者(ビジネス利用の場合は企業)が管理する設備内に設置し運用すること。自社運用ともいう。
  3. ※3 VPN:Virtual Private Network(バーチャルプライベートネットワーク)の略。暗号化とトンネリングの技術を使用することで、インターネット上で安全な通信を行う技術。公衆回線をあたかも専用回線であるかのように利用できる。

会社概要
株式会社北一商店
会社名
株式会社北一商店
設立
1947年(昭和22年)2月
所在地
(本社)東京都世田谷区北沢2-38-14
(千葉営業所)千葉県市川市欠真間2-5-13
代表取締役社長
山形 鉄志
資本金
1,200万円
従業員数
20名
事業内容
畳に関する物品の卸・小売業、室内装飾品・畳・敷物の取付・敷込等の工事請負など
URL
http://www.kitaichi.co.jp/
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