電話応対でCS向上事例

-盛岡市役所-
「市民はお客さま」の考えのもと、接遇マイスター認定制度を制定

記事ID:C20028

福祉、教育、防災などさまざまな面で、市民の安全・安心で快適な暮らしを支えている盛岡市役所。日々、窓口や電話で多くの市民と接する中で、「市民はお客さま」という考えを浸透させ、接遇のプロフェッショナルの育成に取り組む佐藤氏、鹿嶋氏に話をうかがいました。

仕事の内容をお聞かせください。

総務部職員課 能力開発室
主査 職員研修担当 鹿嶋 大孝氏

鹿嶋氏 私は、総務部職員課の能力開発室に在籍し、職員研修の企画・運営や人事評価を担当しています。盛岡市役所には電話応対を専門にする部署がなく、すべての職員が電話応対をしています。新採用職員については、年度初めに「接遇研修」を受講し、市役所の窓口業務だけでなく、電話応対のスキルアップも図っています。佐藤が所属する市民部市民登録課では、主に住民票、戸籍、マイナンバーカードの手続きをしています。

コロナ禍で、応対業務に変化はありましたか。

市民部市民登録課 課長補佐
窓口サービス向上推進委員会
事務局担当 佐藤 幸伸氏

佐藤氏 受付を窓口から電話に切り替えたサービスがあります。例えば、特定検診や人間ドックの受付は、以前は窓口に来ていただいて受診券を渡していましたが、コロナ禍で電話での申し込みに切り替えて、受診券を郵送しています。ただ、私が所属している市民登録課は、住民票や戸籍の交付業務が中心となるので、今の法律上、電話での申し込みに切り替えることは困難です。コロナ禍で行政のオンライン化を進める動きがあるので、そうなると、今後は窓口での応対が減って、電話応対の重要性が増すかもしれないですね。

「接遇マイスター」制度を設け市役所全体の接遇スキルの向上に励む

市民との接点ではどのようなことを心がけていますか。

接遇マイスター認定バッジ

佐藤氏 盛岡市役所では「市民はお客さま」という考えが根づいているのですが、それは平成18年度に窓口サービス向上推進委員会が発足したことがきっかけだと思います。この委員会では、お客さまの声をしっかりと聴いて、窓口業務の利便性を向上させる取り組みをしています。実は、当初の目的は、市役所の手続き業務をワンストップ化することだったのですが、それを実現するための設備や環境を整えることが難しかったのです。それならば、せめて窓口業務の品質が同じになるようにと、接遇の向上に取り組み始めました。
 その一環として、平成25年に「接遇マイスター」という認定制度を設けました。接遇マイスターとは、窓口業務や電話応対の模範になる存在で、日常的に接遇の指導を行うほか、現場研修の講師として活動しています。
 今年は、7月末に接遇マイスター研修を受講し、8月中に認定を受け、11月までに研修の講師として活動するというスケジュールで進めています。接遇マイスターには、認定証とバッジが贈られます。バッジには市の花であるカキツバタと市の鳥であるセキレイが描かれており、誰から見ても接遇マイスターであることが分かるように、胸ポケットや名札につけてもらっています。
 令和3年度は新たに23名が認定される予定で、現在の認定者を合わせると120名になります。年々、接遇マイスターの数が増えているため、市役所全体の接遇スキルが向上し、苦情などの件数も減ってきたと感じています。今後も、一人でも多くの方に接遇マイスターになってもらい、組織として接遇の底上げを図りたいですね。

接遇マイスターになった方からは、どのような声が聞かれますか。

窓口サービス向上推進委員会 講義風景

佐藤氏 誇りに思う一方で、「教える側になって初めて気づくことがある」という声が多いですね。入職すると、教わる立場は多いのですが、教える立場を経験する機会はなかなかありません。接遇マイスターとして初めて教える立場を経験すると、今まで気づかなかった発見があるのだと思います。また、教える立場を経験しておくことは、市役所のキャリアパスにおいても非常に重要です。接遇マイスターはある一定の役職までという制限があり、その後は管理職になる人も多くいます。接遇マイスターの立場で学んだことが、管理職の仕事にも役立っているようです。

接遇マイスター制度を導入して10年以上経ちますが、変化はありましたか。

窓口サービス向上推進委員会 研修の様子

佐藤氏 接遇マイスターの数が増えたことで、業務の幅が広がりました。制度ができた当初は25名しかいなかったので、一人ひとりの負担が大きく、現場で指導をするだけで精一杯でした。しかし現在は100名近くになったので、研修の指導だけでなく企画から携わってもらっています。人数が増えると、お互いに助け合うことができるので、一人ひとりの負担も軽減されてきました。今後も接遇マイスターの数を増やし、業務の品質を高めていきたいですね。

念願の電話応対コンクール全国大会入賞に大きな達成感を感じた

電話応対コンクールへの取り組みについてお聞かせください。

鹿嶋氏 平成25年度に初めて参加し、令和2年度には全国大会で優秀賞をいただきました。市役所の職員が県大会や全国大会に進んで、賞をもらったというのが話題になりました。優秀賞を取った職員は、市政に対する意見や苦情をお伺いする部署に所属しており、普段から応対の心構えができていたことが、入賞につながったようです。事務局としても、ようやく全国に通用するスキルが身についてきたという実感があります。電話応対コンクールには、接遇マイスターの中から、過去に参加したことのないメンバーに挑戦してもらっています。参加者からは、自分の応対を振り返る機会になり、周りとのレベルの差も感じられるため、「参加して良かった」「勉強になった」という声が多くあがっています。

電話応対のスキルを高め、市民アンケートで「満足度95%以上」を維持していきたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

佐藤氏 窓口サービス向上推進委員会が実施している市民アンケートで、満足度95% 以上を維持していくことが目標です。コロナ禍で新しい生活様式が求められるようになり、電話や郵送の手続きが増えてきました。電話応対も、以前は形式を重視していたところもありますが、時代の変化によって、スピードや柔軟性など、お客さまが求めていることも変わってきています。良い接遇は、時代や状況に応じて変わっていくので、それに対応しなければなりません

組織名 盛岡市役所
所在地 岩手県盛岡市内丸12-2
市 長 谷藤 裕明
URL http://www.city.morioka.iwate.jp/
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