事例系トピック

保護者とのコミュニケーションをペーパーレス化、業務効率と学童保育の質向上を両立

学童保育施設を運営する特定非営利活動法人 Chance For ALL(チャンスフォーオール)は、予算に限りのある中で、クラウドアプリケーションを活用して業務を効率化。ペーパーレス化や時間短縮などを実現し、子どもたちへのサポートの充実を図っています。

  • 【導入の狙い】グループウェアを活用し、保護者との連絡方法をペーパーレス化に転換、内容の充実と業務の効率化を目指す。
  • 【導入の効果】保護者への「おたより」を週1度から毎日発行に。保護者との細かなコミュニケーションも実現し信頼性が向上。

生まれ育った家庭や環境で子どもの人生が左右されない社会の実現を目指す

特定非営利活動法人Chance For Allは、2013年、東京都足立区に学童保育施設を開設。現在は足立区と東京都墨田区にある合計8ヶ所の学童保育施設で、約300人の子どもたちが放課後や休日の時間を過ごしています。

「私たちは『生まれ育った家庭や環境で子どもの人生が左右されない社会の実現』を目指す特定非営利活動法人です。共働き家庭では、学校が終わった後、家で一人で過ごすしかないお子さんもいます。そうしたお子さんをお預かりし、集団での学びや遊びを通じて成長を見守り、支援するのが、私たちの役割です」(中山氏)

代表理事 中山 勇魚氏

▲代表理事
中山 勇魚

クラウドアプリケーションの活用でペーパーレスと業務効率化を推進

こうした施設における子どもたちの活動記録は、2017年まで、職員の手作りによる紙の「おたより」で、保護者に伝えられていました。

「預かっている間の子どもの様子や出来事を毎週金曜日にまとめ、マネージャーの確認を経て週明けに印刷し、保護者に配布するというのが当初のスケジュールでした。しかし、ほかの仕事と重なると、作成が週明けにずれ込むこともたびたびでした。また『おたより』のほか、行事のプリントなども同時に用意するため、紙切れやインク切れ、プリンターの不調対応に時間を取られることもありました。そうした作業に時間を取られた結果、子どもに向き合う時間が短くなっていたのです」(中山氏)

現職に就く前、ICT関連業界で働いた経験のある中山氏は、この課題の解決策をICTの活用に求めました。

「各施設の業務は、クラウドアプリケーションを活用しています。例えば、毎日の“振り返り”として配布していた紙の『おたより』を、スマートフォンやパソコンでご覧いただけるように保護者の方に公開しています」(中山氏)

さらに、保護者全員に送る共通の「おたより」のほか、子どもを介してやりとりしていた個別の連絡帳や請求書についても、限られた利用者だけが特定のページを閲覧できるように設定できるクラウドアプリケーションの拡張機能「じぶんページ」を使い、ペーパーレスへの移行が実現し、業務効率が向上しました。

「2018年1月から1ヶ月間の移行期間を設けて、2月からは紙ベースでの連絡をなくしました。業務の一部だけに紙を使用していると課題はいつまで経っても解決しないと考えたからです。スマートフォンでの閲覧設定が分からない保護者の方がいるなどいくつかの問題はありましたが、最終的には私自身で各校舎を回り、保護者と対面して設定するなどして解決しました」(中山氏)

 

職員自身がアプリケーションをカスタマイズすることで、保護者とのコミュニケーションが円滑化

導入から1年が経ち、その効果を中山氏は以下のように考えています。

「当初の課題であった職員の負担は大きく減る一方、これまで週1回、しかも遅れがちだった『おたより』を、連日お送りすることが可能になりました。また参加や不参加の返事をいただくことが必要な行事のご案内なども、確実にお届けできるようになりました。さらに、職員、保護者間だけでやりとりしていた連絡帳も、これまでは子どもが読んでしまう可能性を考慮して詳しい内容を書くことができませんでしたが、今では日中夜間を問わず、より深いレベルの連絡の交換ができるようになりました。従来、職員・保護者の双方が『わざわざ連絡、相談することかどうか…』と迷うような子どもの言動や様子などもすぐに共有できるようになり、子どもの見守りにも大きな効果が得られたと思います」(中山氏)

学童保育施設内の様子▲学童保育施設内の様子

また中山氏は、職員の働き方にも変化が表れたと言います。

「ICT化により、連絡帳作成業務などで発生する夜遅くの残業が減り、勤務時間が朝型にシフトしました。また、職員自身がクラウドアプリケーションを自由にカスタマイズしたことで、業務活用するケースも増えてきました。例えば、消耗品管理はこれまでの担当職員による目視確認とExcelによる管理から、自作のアプリケーションによる管理に変えました。消耗品を持ち出す職員がそのアプリケーションに数値を記入すると在庫数に反映され、足りない水準になると担当職員に自動でメール通知されるというものです」(中山氏)

 

ほかのNPOとも連携しながらICT活用を推進し、学童保育の未来と環境作りに尽力

そして中山氏は、今回のクラウドアプリケーションによる「おたより」のデジタル化が実現した背景に、クラウド運営企業の理解が大きかったことを挙げます。

「活用しているクラウドアプリケーションには、私たちのようなNPO向けに、初期費用として年額9,900円(税抜)で利用できるプランが用意されていたことが、導入した大きな理由です。『じぶんページ』にはランニングコストとして月額10,000円(税抜)+追加ユーザ料金一人あたり月額100円(税抜)がかかりますが、月額料金以上の業務効率化が実現したと思います」(中山氏)

最後に中山氏に、今後のICTの利用について展望をうかがいました。

「学童保育のICT導入は、公的な予算による支援が十分に受けられない状況です。そんな中、各地の学童保育NPOもそれぞれ工夫しながらICTによる業務効率化に努め、子どもと向き合う時間を増やすことを目指しています。現在もそうしたNPOと情報交換を進めていますが、今後もそうした取り組みをさらに続け、子どもが健やかに育つことのできる環境作りを進めていきたいと思います」(中山氏)

組織概要
特定非営利活動法人Chance For All
組織名
特定非営利活動法人Chance For All
設立
2013年(平成25年)
本部所在地
東京都足立区関原3-15-4
代表理事
中山 勇魚
活動内容
学童保育の運営、小学生の放課後に関する調査/研究