請求書などの文書の宛先に書く企業名に付ける「敬称」は、何が正しい?

解決のヒント

 仕事を円滑に進める上で重要なコミュニケーション能力。それゆえに悩む人も多く、また悩み自体も環境によって異なるものです。「解決のヒント」では、電話応対に関するお悩みや日常的なコミュニケーションに関する相談事を、「もしもし検定指導者級資格保持者」の方々からアドバイスしていただきます。

請求書などの文書の宛先に書く企業名に付ける「敬称」は、何が正しい?

  • 請求書の文面に書く相手方の名前(社名)の敬称は、団体や法人でも「様」とした方が良いかどうか悩んでいます。最近、上司に「請求は担当者にするものではなく会社本体にするものだから、『御中』ではなく『様』で」と指示がありました。以前は会社名に「様」を付けるなんて…という感覚だったのですが、会社自体に宛てた際の敬称は、本当に「様」で良いのでしょうか。
    (サービス業 担当者)

A.ルールにとらわれず、柔軟な対応で使い分けを。

真鳥 恵氏

真鳥 恵氏

株式会社JBMコンサルタント
トレーナー気持ちと言葉の伝え方。コミュニケーションをベースに研修を行っています。

 敬称を使う際、大切なのは相手を敬う気持ち。確かに一般的なビジネス文書上、会社名の敬称は「御中」、個人の敬称は「様」ですね。しかし、「様」はどのような場面でも違和感なく口頭や文書で使われています。不特定の人の目に触れる封筒は「御中」で、宛先会社内の方へ“大切に読んでいただきたい”という敬意を込めて文書に「様」を用いることは不自然なことではありません。基本知識を身に付けた方にこそ、柔軟なコミュニケーションを身に付け生かしていただきたいと思います。もちろん封筒の中には温かい心も忘れずに同封してくださいね。

A.団体・法人の宛名敬称は基本的に「御中」で。

近藤 よしえ氏

近藤 よしえ氏

株式会社アクトプランニング
マナー講師大学・専門学校などでマナー・コミュニケーション・電話応対の授業を担当しています。

 封筒でも文書でも同じです。しかし、市販されている領収書にはあらかじめ「様」が印字されているものもありますね。この場合はあえて「様」を「御中」に訂正して使用しなくてもいいのですが、「様」の印字がないものや自社で請求書を作成する場合は「御中」を記入します。また、宛名が個人の場合は「様」ですが、「殿」の敬称を使う方もいます。「殿」は「様」より目下扱いになりますのでこれは避けた方がよいでしょう。その他、領収書の宛名で(株)と書いているものを見かけますが、必ず「株式会社」と略さずにご記入くださいね。

A.状況に合わせるのも、1つのマナーです。

田村 綾子氏

田村 綾子氏

有限会社カスタマーケアプラン コミュニケーション事業部
事業部長担当者が疲弊しないための「メンタルヘルス研修」にも力を入れています。

本来、「様」は個人に対する敬称ですから、企業名のあとに「様」を付けるのは誤りです。ただ、地方や企業文化によっては、企業名のあとに「様」を付けるところもあるようです。 このように、一般的に正しいといわれるマナーと、現状が異なる場合があります。この上司の方の論理には無理があるように感じますが、企業文化やお客様に合わせるのも1つのマナーです。あなたの会社宛の請求書に、「御中」「様」のどちらが使われているのかを参考になさってみてはいかがでしょうか。

いかがでしたでしょうか。もしもし検定指導者級資格保持者の方々のヒントを参考に、あなたにとってピッタリの答えを見つけてみてください。

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「もしもし検定」とは、公益財団法人日本電信電話ユーザ協会の行う「お客様に喜ばれるビジネス電話応対」の実現と電話応対のエキスパートとして即戦力になり得る社内の指導者の育成を目的とした資格制度です。電話応対に関する高度な知識・技能があり、本検定の実施にあたり指導官や試験官等の役割を担うことのできる「指導者級の資格を有する者」を「もしもし検定指導者級資格保持者」と言います。
詳しくはユーザ協会ホームページより、もしもし検定ページをご覧ください。

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