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第6回 ビジネスメールの基本の型【前編】「宛名・挨拶・名乗り」

メールを書く時に悩まないためにも、相手に正しく理解してもらうためにも「型」を覚えることが重要です。どの順番で何を書くべきか。どのような点に注意をすべきか。メールを七つのパーツ(宛名、挨拶、名乗り、要旨、詳細、結びの挨拶、署名)に分け、今回はメールの全体像と宛名から名乗りについて解説します。

型が身についていれば応用が利く

 メールで伝えることに苦手意識を抱いている人は多いようです。失礼にならないか、正しく伝わるか、誤解を招かないかと何度も書き直し、送信前に再三確認をしている人も。どんなに良いメールも時間をかけすぎれば仕事に支障をきたします。しかし、多くのビジネスパーソンが共通の理解として押さえているビジネスメールの基本(=型)が身についていれば応用が利くようになり、時間をかけるところとかけなくてもいいところの判断もつくようになります。そこで、メールを書く上で土台となる、ビジネスメールの基本の型を順にみていきましょう(【ビジネスメールの参考文面】参照)。

▲【ビジネスメールの参考文面】

 ビジネスメールの本文は、宛名、挨拶、名乗り、要旨、詳細、結びの挨拶、署名の七つの要素で構成されています。この中で時間をかけてもいいのが要旨と詳細。この二つは主題によって変わります。しかし、宛名、挨拶、名乗り、結びの挨拶は毎回一から考える必要はなく、定型文を当てはめればメールとしての体裁は整います。署名は、初めに設定したものが自動的に挿入されるようになっているはず。時間をかける部分とかけなくてもいい部分を切り分けて効率よく書くためにも、型の理解は有効です。

①宛名

 宛名にはメールを送る相手の名前を書きます。名前を間違えない、敬称をつけ忘れない、漢字の変換ミスや入力ミスには気をつけます。社外に送る時は、相手の会社名や部署名、役職まで書くと丁寧です。会社名を通称で書いたり、株式会社を(株)㈱などと略したりせず正確に書きます。敬称は社外向けには「様」、社内向けには「さん」が一般的ですが、同じ会社でも「様」を使う習慣があれば「様」を使います。

②挨拶

 社外向けの挨拶は「お世話になっております。」が一般的で、お世話になっていることへの感謝の気持ちが強ければ「大変」をつけたり、頻度が高ければ「いつも」をつけたりすると変化が出ます。社内に向けては立場や環境によって適した表現を使います。メールは電話や会話に近いツールです。「おはようございます。」など時間帯に応じた挨拶を書くこともできます。

③名乗り

 挨拶の後にメールの送信者が何者であるかを名乗ります。同姓が多い時や初めてメールを送る時はフルネームが丁寧です。社外向けには会社名と名前を書くと、どこの誰であるかが一目で伝わります。送信者名(差出人)で名前を表示していても、必ず名乗ります。名乗りがないと不安を与え、署名を確認するなど手間をかけさせることがあるからです。読み手に負担をかけないよう情報を配置します。

 次回はビジネスメールの基本の型【中編】「要旨・詳細・結びの挨拶」について解説します。

直井 章子氏

一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。

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