電話応対でCS向上コラム

第41回 失敗した人、望んだ結果が得られなかった人を励ます言葉

新規事業に挑戦して失敗した時、一生懸命やったのにうまくいかなかった時……。落ち込むことも少なくありません。ただ、落ち込んでいるだけでは、何も変わりません。失敗の先の人生がよくなるかどうかは、その後の皆さんの生き方次第です。失敗した時に辛いのはあなただけではありません。皆同じ道を通るのです。今回は、失敗して落ち込んでいる人を励ます言葉について考えてみましょう。

仕事で壁にぶつかっている部下を励ます

 すべての人間にとって、失敗はどれも成長を遂げるために必要なプロセスです。「ミスをすることは誰でも有り得るのだから、次に同じミスをしないように直せばいい」と、尊敬する先輩や上司からこんなふうに言われたら、少しは心が和むのではないでしょうか。ある優秀なキャリアウーマンが、大切な顧客とトラブルを起こし、叱られるのを覚悟で上司の元に行ったところ、上司からは「よし!俺の出番が来たな」という言葉が返ってきたそうです。彼女はこの一言に救われたと同時に、素晴らしい上司を持ったことを実感したそうです。仕事で壁に突き当たっている部下には、「ついにキミもこのレベルまで来たね。誰もが通る道だよ」「ここを乗り越えたら、今まで以上に自信が持てるよ」といった励ましの言葉が相応しいでしょう。

失敗して落ち込んでいる上司を励ます

 それでは逆に、上司や目上の人が失敗して落ち込んでいるような時は、どのような言葉がけをしたらよいでしょうか。「先生でも考え込むようなことがあるんですね。驚きました」ではバカにしているように聞こえがちなので使い方は難しいですが、時と場合によっては、この言葉が相手の慰めになることがあります。これよりもかけやすい言葉は、次のようなものでしょう。「何かお手伝いできることはありますか」「私にできることがあれば、協力します」この言葉を聞いた相手が、何かしてほしいと思っていれば助かるでしょうし、もし断りのメッセージが返ってきても気にすることはありません。励ましの言葉を受け入れられるかどうかは、相手の問題であって、あなた自身の問題ではないのです。

予期せぬ厳しい事態に落ち込む夫を励ます

 突然のリストラ、会社の倒産……。予期せぬ厳しい事態に直面し、不幸のどん底に突き落とされた気分になっている相手を慰め、励ますにはどのような言葉が良いのでしょうか。例えば夫婦であれば、妻が、失職した夫を励ますことになるでしょう。本当に信頼し合っている夫婦であれば、相手を責めるより先に、力を合わせて大変な面を何とか乗り越えようとするでしょう。そんな時には、「一緒に頑張りましょう」「何か私にできることはあるかしら?いざとなれば、私も働くわ」「いよいよ私の出番ね、子育てが大変だった時は、働きたくても働けなかったけど、とうとうチャンスが来たわ」といった言葉が効果的です。人生最大の危機も、見方によっては、新しい人生を切り開くチャンスになるかもしれないのです。

プライベートのことでの“落ち込み回復”には

 仕事上の問題ではなく、健康上の問題など、プライベートな問題で落ち込んでいる人を励ます時にはどのような言葉が適切でしょうか。例えば、健康診断の結果が「要再検査」となって落ち込んでいる人に対しては、「お大事に」という決まり切った言葉では、今一つ思いが伝わりにくいです。相手が親しい人だったら「私も心配だ」という気持ちが自然に起こってくるでしょう。それを伝えるだけでも、相手の心がほぐれる可能性があります。そして、さらに、言葉を添えるとしたら、「その診断結果は、そろそろゆっくり休んで、自分を大切にした方がいいというサインかもしれないよ。診断結果を伝えて、退社後のつき合いを断ることもできると思うよ」という励ましの言葉も有効です。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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