ICT導入事例 -田中藍株式会社

セキュリティ強化も視野に入れ、フリーアドレスを導入。業務効率化と職場環境改善で「働き方改革」実現を目指す

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優秀な人材を確保し、成長を続けるには「非効率・長時間労働からの脱却」が急務になっています。田中藍株式会社はフリーアドレス※1を導入し、コミュニケーション活性化による業務効率化と職場環境改善により“働き方改革”の実現を目指しています。

  • 【導入の狙い】フリーアドレスで効率的な業務遂行と働きやすさを実現する。
  • 【導入の効果】内線感覚の電話で営業社員と事務処理担当者の連携が密に。社内のコミュニケーションも活発化。
図:「オフィスリンク」を活用したフリーアドレス化の概念図

フリーアドレスの導入で合理的な働き方の確立へ

代表取締役社長 田中 達也氏

▲代表取締役社長
田中 達也

田中藍株式会社は、地域の名産品「久留米絣(くるめかすり)」に使う染料である藍の取引会社として1887年に創業、その後化学系染料が主流となる過程で化学品の専門商社へと業容を変えていきました。現在は原材料メーカーから化学品を仕入れ、加工品メーカーへと卸す専門商社を事業の主軸としつつ、住宅事業、介護関連事業など新分野への展開も図っています。

「私は社長就任以来、合理的、効率的に仕事ができる環境をどう作っていくかを常に考えていました。その一つとして温めていたのが、フリーアドレスとリモートアクセスの導入です。社員全員に固定の席を割り振る従来型のオフィスでは、社員が外出中は使われないスペースの発生が避けられません。外出先からも社内のデータに自由にアクセスし、オフィスにいるかのように働けるリモートアクセスを用意し、フリーアドレスと一体化して運用すれば、職場スペースの削減が可能となります。これは賃料の抑制につながり、浮いたコストを社員の待遇改善に役立てることができます。また『どこでも働ける』という環境が実現できれば時間の活用が効率的になり、休日も取りやすくなります。これは中小企業の課題である『優秀な人材の確保』を手助けすることにもなるのです」(田中氏)


NTTドコモの「オフィスリンク」を採用し社内外での“内線通話”を実現

フリーアドレスは、組織の壁を取り払い、社員間のコミュニケーションを活性化させ、自由で新しい発想が生むことを目的とし、1990年代、一時的にブームとなりましたが、紙資料の保管と閲覧、同じ部署内でのコミュニケーションなどに課題があり、定着しませんでした。

「現在はオフィス内へのWi-Fiの導入、資料のデジタル保存などによるペーパーレス化が進み、パソコンやモバイル端末があれば社内のどこでも仕事ができるようになりました。つまりフリーアドレスのメリットをきちんと享受できる環境が整ったのです。さらにフリーアドレスとリモートアクセスによる業務効率向上は、『働き方改革』を進める上でも大きなポイントとなります」(田中氏)

田中氏はフリーアドレスオフィスの実現のため、事務機器メーカーのショールームの見学や、フリーアドレスを導入した会社の視察も実施してきました。そして2018年秋、北九州支店のフリーアドレス化に踏み切りました。

「北九州支店は、入居するビルのリフォームに伴い、別のフロアへの移転を打診されていたのです。この機会なら、オフィスを白紙の状態から構築ができるため、導入の好機だと判断しました」(田中氏)

田中氏の指示のもと、フリーアドレスを検討するプロジェクトチームが結成され、具体的な設計やソリューションの選択が行われました。そして上がってきたアイデアが、営業系社員のフリーアドレス化とともに、NTTドコモの「オフィスリンク」を活用し、社員が社内外のどこにいても、携帯電話を内線電話のように利用できる環境の構築でした。

「ドコモの『オフィスリンク』なら、従来から社員に支給していたNTTドコモの携帯電話がそのまま使えるため、導入もスムーズではないかと考えたのです。また『オフィスリンク』ではクラウド型のPBX※2も選択できますが、社内設備を有効活用するため、自社に備えることとしました」(田中氏)


日々違う顔ぶれと触れ合うことでコミュニケーションが活発化

こうしてフリーアドレス化された北九州支店では、働き方はどのように変化したのでしょうか。

「導入当初に見られた、話したい相手がどこにいるか把握しにくいなど、『席が決まっていないこと』への戸惑いはすぐに解消しました。現在は社内外のどこにいても内線が通じるため、皆が各社員の“本日の居場所”を把握しています。固定の席を無くしたことで、以前より進めているペーパーレスとの相乗効果もあり、オフィススペースにゆとりができました。また隣にいつも同じ顔が並ぶこともなくなり、社員同士のコミュニケーションも活発になったようです」(田中氏)

またオフィスリンクの導入で、業務の流れが効率的になりました。

「私が日頃から営業系社員に『会社にいてもお金は稼げない。外に出て、お客さまのところを回るように』と指導していることから、営業系社員はほぼ外出しています。社外にいる営業系社員が社内の事務処理担当者に指示や依頼が必要になった場合、従来はいったん会社に外線で電話し、取り次いでもらう必要がありましたが、今回の導入で、外出先からも直接、事務処理担当者への通話が可能になりました。ただ、社内から外出中の社員への電話は『商談中かもしれない』といった気配りが必要なので、どのように運用していくかは今後の検討事項ですね」(田中氏)

日々違う顔ぶれと触れ合うことで社員同士のコミュニケーションも活発化
▲日々違う顔ぶれと触れ合うことで社員同士のコミュニケーションも活発化

「どこにいても働ける仕組み」の導入で、将来のさらなる成長を

そしてこのフリーアドレスの導入は、同社がこれから進める改革の第一歩でもあります。

「北九州支店はオフィス移転を契機とした導入でしたが、久留米本社、東京本社ともフリーアドレス化は既定路線です。さらに次のステップとして『オフィス内外を問わず働ける環境の構築』を目指しています。現在はセキュリティ上の理由から、業務用パソコンや営業資料をコピーしたUSBメモリーなどを社外へ持ち出すことを禁止しています。弊社は商社であることから日々、見積書、報告書を作成する作業がどうしても発生するため、営業系社員は出社する必要があります」(田中氏)

田中氏は、こうした仕事の進め方をICTにより改革することで、効率的で働きやすい職場の実現を目指しているのです。

「経営層や上級管理職は、スマートフォンやタブレットからセキュリティを確保した上で社外から社内のデータベースにアクセスできるようになっています。場所を問わない情報へのアクセスは、社内文書の決裁や承認がスピーディになり、意思決定が迅速になりました。今後はこうした仕組みを営業系社員にも展開する予定です。これが実現すれば、価格や在庫、納期などをお客さまの目の前で確認できるようになるため、商談もよりスムーズになり、競争力はアップするでしょう。また、こうした仕組みの導入後は見積書や報告書作成のための出社も最低限で済むようになるため、直行や直帰もより柔軟になり、高い成果を上げつつ、これまで以上に余暇を楽しむこともできるはずです。また“場所を問わない勤務スタイル”をさらに推し進めれば、育児など家庭の事情があっても、在宅勤務を選択し、働き続けることが可能になるかもしれません。そうした働きやすい職場を実現することは、これからの未来に向けての会社の責務です」(田中氏)

フリーアドレスを端緒とした業務効率化は、魅力的な職場環境も同時に実現し、「成果」と「働きやすさ」の両立につながっていくはずです。


  1. ※1 フリーアドレス:社員が個々の自席を持たず、働く席を自由に選択できるオフィススタイル。
  2. ※2 PBX:Private Branch Exchangeの略。企業などの内部に置かれた電話回線の交換機のことで、内線電話の接続をコントロールするもの。

会社概要
田中藍株式会社
会社名
田中藍株式会社
設立
1948年(昭和23年)7月1日
本社所在地
福岡県久留米市城南町8-27(久留米本社)
東京都港区虎ノ門2-3-17 虎ノ門2丁目タワー21F(東京本社)
代表取締役
田中 達也
資本金
3億3,000万円
事業内容
化学工業薬品、石油化学製品、染料、顔料、ゴム製品、油脂製品、合成樹脂及び成型品、非鉄金属、昇降機等の国内販売及び輸出入
URL
http://www.tanakaai.co.jp/index.html
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