ICT導入事例 -株式会社ナノ・ユニバース

スマートフォン向けアプリケーションでECと実店舗の連携を実現し、売上増を達成

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インターネットの普及とともに拡大したEC(電子商取引)市場は、スマートフォン利用の一般化により大きな進展を遂げています。こうした中、実店舗とECとを融合させ業績を伸ばしている株式会社ナノ・ユニバースに、これまでの取り組みについてうかがいました。

  • 【導入の狙い】顧客情報を自社で管理し、ECサイトとリアル店舗を連携した相乗効果で事業拡大を目指す。
  • 【導入の効果】アプリケーションによりロイヤルカスタマー(忠誠心の高い顧客)の動向を把握、実店舗とECの売上増を実現。
【ECサイトと実店舗を連携させた販売戦略】

ZOZOTOWNからの出店要請が、EC参入のきっかけに

経営企画本部 WEB戦略部長 越智 将平氏

▲経営企画本部
WEB戦略部長
越智 将平

株式会社ナノ・ユニバースは全国に66の店舗を展開するアパレル事業者です。

「私たちの業態はいわゆる『セレクトショップ』※で、自社ブランドのほか、バイヤーが海外で買い付けてきた衣類や雑貨を通じ、お客さまにファッションやライフスタイルを提案しています」(越智氏)

同社の創業は2002年。インターネットはすでに普及していましたが、当時、ECを視野に入れることはなかったと言います。

「インターネットの利用者は増えてはいましたが、当時の商取引利用はポータルサイトのオークションなど、個人対個人での売買が主体でした。またファッション業界には『ネット通販はブランドの価値を毀損する』という考えも根強くあったのです」(越智氏)

しかし2005年、同社に転機が訪れます。

「前年にECサイト ZOZOTOWNを開設した株式会社スタートトゥデイから、出店のお声がけをいただいたのです。ZOZOTOWNはこちらで商品を委託すれば、写真の撮影、サイトへの掲載、在庫管理、入金管理、お客さまへの配送まですべて行うフルフィルメント(商品の受注から決済に至るまでの業務全般)の形態をとっており、出店のハードルは高くありませんでした。そこでまず、実店舗で在庫になっている商品で反応を見てみることにしたのです」(越智氏)

その手応えは大きなものでした。実店舗で動きの悪かった商品が、次々に売れていったのです。越智氏はECの持つ大きな可能性を感じたと言います。

「実店舗での売れ筋商品をZOZOTOWNに投入すると、売上はさらに拡大しました。こうした結果を受け、私たちはECにさらに注力し、2007年には社内にECを担当する独立した組織もできました」(越智氏)


ZOZOTOWNで“売り方”のノウハウを積み、さらなるステージへ

こうしてECへの取り組みを本格化させる中、越智氏は“より売れる見せ方”への工夫も続けました。

「こだわったのは、写真とコーディネートです。お客さまに商品の魅力を訴える写真はどうあるべきか、自分自身で何度も何度も撮影し、その効果を測りました。また店頭と同じように、おすすめのコーディネートも掲載しました。そうした工夫が当たれば、すぐ売上になって返ってくるというところに、ECの面白さを感じました」(越智氏)

こうしてECでの経験を積み重ねた同社は、2011年、次のステップに踏み込みます。

「ZOZOTOWNには不満はありませんでした。フルフィルメントですから、面倒なことはすべてやってくれます。しかし、これから弊社が成長するためには、ECのすべてを自社運営しノウハウを持つこと、そして顧客情報を自社で管理することが重要だと考えたのです。もちろん、それが容易なことではないことも分かっていました」(越智氏)

自社によるECサイト運営は、システム構築だけでなく、物流や顧客対応も含めた周到な準備が必要でした。まずこれまでBtoB専門で委託していた物流センターを、BtoCに対応できる自社設備へと移行しました。また、コールセンターも新設し、お客さまからの問い合わせに応対できる体制を構築しました。

「2012年に自社ECサイトがスタートしてからも、苦労の連続でした。これまでZOZOTOWNというモールに頼っていた集客を自社で賄うため、効果的なPRはどうあるべきか試行錯誤しました。また、ブラウザーのアップデートにきちんと対応していくことにも、細心の注意を払いました」(越智氏)


速度と、より細やかな機能を求め、スマートフォンECアプリケーション導入へ

そして2015年、同社はさらに一歩進み、ブラウザーベースのECから、スマートフォンネイティブアプリケーションによるECへと移行します。

「その背景には、2014年に開発・導入したスマートフォンアプリケーションがありました。このアプリケーション(以下、アプリ)は会員カードをデジタル化したもので、このアプリをインストールし、実店舗でお買い物していただければ、ポイントが加算されるというものです。導入時には、はたしてどこまで利用してもらえるかという声もありましたが、実際には多くのお客さまにインストールしていただくことができました」(越智氏)

スマートフォンECアプリはブラウザーベースのECに比べ反応が速く、“待ち時間”によるストレスを大幅に減らし、スピーディな買い物が可能となります。また設定した「マイストア」の近くに来ると「お気に入り」に登録した商品の在庫に応じ利用者にプッシュ通知するなど、ECと実店舗を結びつける機能も搭載しています。さらにアプリには高い検索機能も搭載され、誤った英文の綴りやカタカナ読みでも適切な商品を表示します。

「スマートフォンにアプリをインストールしてくださるお客さまは弊社の大切なロイヤルカスタマーで、お買い上げ額も平均を上回っていることがデータから明らかになっています。またアプリで下調べしてから来店されるお客さまの購買率も高いことから、アプリでECと実店舗をつなぎ、併用されるお客さまを大切にすることが重要だと考えています」(越智氏)


アプリを“場”にして、買い物以外の楽しみも提供を

そして越智氏は、ECと実店舗をともに伸ばすために必要な要素を例示しました。

「ECサイトにも実店舗にも、共通の世界観が必要です。見栄えが良く高機能なECサイトやアプリを用意しても、店頭がそのイメージに合わなければお客さまを失望させてしまいます。またECサイトでイチ推しにしている商品は実店舗でも目立つ場所にきちんと配置するなど、双方の情報連携も重要になってきます。まず9割のお客さまは『商品はどこにありますか』と聞くことなく店を去ってしまいますから」(越智氏)

最後に越智氏に、今後の展望をうかがいました。

「アプリを単なる買い物ツール以上のものに進化させたいと考えています。例えば、お客さまが興味を持つコンテンツを用意し、買い物しようという気持ちでなくてもアプリを開き、楽しんでもらえる“場”にしたいのです。また、カスタマーサポート部分では、電話のコールセンターとチャットを9月に一体化しました。アパレル業界はカスタマーサポートが遅れていると言われていますが、バックグラウンドをICTで支え、お客さまの声にきちんと応えていける体制を作っていきたいと考えています」(越智氏)

ECと実店舗の垣根をアプリで取り払い、ともに売上を伸ばしていく。ナノ・ユニバースの販売戦略は、多くの小売業にとって大きなヒントになるはずです。


  1. ※ セレクトショップ:特定のブランド品ではなく独自のコンセプトで選んだ商品を陳列・販売する小売店の形態の一種。

会社概要
株式会社ナノ・ユニバース
会社名
株式会社ナノ・ユニバース
設立
2002年(平成14年)7月1日
本社所在地
東京都渋谷区神南1-19-14 クリスタルポイント
代表取締役社長
濱田 博人
事業内容
衣料品、貴金属、衣料雑貨の企画、製造及び、輸入、輸出並びに国内における販売
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