ICT導入事例 -株式会社新幸運輸倉庫

万一の事故の状況を、オフィスにいる運行管理者が映像でリアルタイム確認

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近年では、ドライブレコーダーが交通事故の状況や原因の究明に、大きく役立っています。株式会社新幸運輸倉庫は、従来型のドライブレコーダーを通信型に置き換え、運行管理者の負担軽減とドライバーの技量向上支援を実現しています。

  • 【導入の狙い】万一事故が起こった際にも、オフィスにいる運行管理者がすぐに状況をつかめるようにしたい。
  • 【導入の効果】日常的な記録映像の管理と確認の負担が軽減。「運転診断」でドライバーの技量向上にも貢献。
【クラウド型運行管理(動態管理)サービスの概念図】

安全運行を第一に、そして自動車保険料の25パーセント相当を安全投資に

代表取締役 植竹 一雄氏

▲代表取締役
植竹 一雄

茨城県猿島郡五霞町を拠点とする株式会社新幸運輸倉庫は、『事故のない確実な運送』を社是に、近隣の食品工場などを取引先とした地域密着型の事業を展開しています。

「弊社はやみくもに事業を拡大することを目指してはいません。それよりも、取引先からお預かりした荷物を確実に、安全に、お約束の時間どおりに届けることを目標としています。そうした考えを評価していただき、1円でも安いところに仕事が流れがちな運輸業界で、『新幸ならしっかり仕事をしてくれる』という取引先からの評価により、取引先から適切な運賃でお仕事をいただいております。適切な運賃をいただくことがドライバーの待遇改善にもつながっています。弊社は離職者がきわめて少なく、逆に入社の順番を待つドライバーもいるほどです」(植竹氏)

このように安全を重視する運行により、同社のトラックは標準の保険料から70パーセントの割引が適用されています。そして植竹氏はこの割引をさらなる安全投資につなげています。

「保険料の割引は50パーセントもあれば十分だと思っています。そこで毎年、保険料の25パーセントに相当する額を安全対策費に使っているのです。この予算を使いハンズフリーの携帯電話もかなり早い時期に完備しましたし、ドライブレコーダーも運輸業界が導入に動くはるか以前に全車に装着しました」(植竹氏)


事故の直後にドラレコ映像を一般公開できたからくりとは

しかし、その植竹氏を驚かせる事故が、2017年6月に発生しました。それは東名高速道路で発生した、観光バスと乗用車との衝突事故です。

「事故が起こったその日のニュースで、観光バスに搭載されていたドライブレコーダーの映像が放映されました。それを見て『どうやればこんなに早く、ドライブレコーダーの映像を公開できるのだろう』と思ったのです」(植竹氏)

一般的なドライブレコーダーは、本体に挿入したSDカードに映像を常時記録し、記録容量が一杯になると古い映像から消去しています。そして事故などで大きな衝撃を受けたときは、その前後の映像を自動消去されないエリアに保存するという仕組みをとっています。この仕組みを知る植竹氏は、“誰がそんなに早く事故現場に駆けつけ、SDカードを抜き取ったのだろう”と考えたのです。

「すぐにインターネットで調べたところ、通信を使って映像を遠隔地のサーバーに保存し、オフィスのパソコンから確認できる『通信型ドライブレコーダー』の存在を知りました。万一事故が起こった際に素早く状況を確認できれば取引先への連絡にも役立ちますし、ドライバーへのフォローも適切になります。これはぜひ導入すべきだろうと考え、弊社を担当するNTTドコモのスタッフに相談しました」(植竹氏)


お客さまのお問い合わせに「何分でうかがえます」と即答可能に

同社はNTTドコモの安全運転支援サービス「docoですcar Safety」と、リアルタイムで車両の運行情報が確認できる「docoですcar NEXT」を、まずトラック2台に試験導入しました。

「私は現場のことはできるだけ現場に任せる主義で、試験導入しての評価は実際にシステムを利用する運行管理者の声を重視しようと思っていました。すると間もなく、運行管理者が『全部のトラックに導入したい』と言ってきたのです」(植竹氏)

従来型のドライブレコーダーでは週に一度SDカードを回収し、記録映像を見て正常に動作しているかどうかを確認する必要がありました。また、取引先から急な輸送の要望が入った時、どのトラックが一番近くにいるかを確認する時は電話が頼りでした。

「SDカードの回収と確認は、運行管理者の大きな負担になっていました。また、急なトラックの手配も、夜間など車の流れが良い時間帯は、お客さまに一番近いトラックがほかの数台に電話しているうちに10~20キロメートル以上離れてしまうこともありました。現在はパソコンで現在地を確認できるため、ロスのない連絡と取引先をお待たせしないサービスが可能となったのです。また、ドライバーが電話に出る必要もなくなり、安全運転の一助にもなっています」(植竹氏)

ビニールハウス内に設置されたモニタリングシステム栽培されたイチゴ
▲フロントガラスに装着されたドライブレコーダー(左)
トラックの現在地などもオフィスのパソコンでリアルタイムに確認(右)


運転診断のデータがドライバーの自己研鑽に大きく貢献

さらに「docoですcar Safety」に備わる運転診断機能も、ドライバーの安全運転に大きく効果を上げているとのことです。

「安全運転についても、私は口を出すことなく、ドライバー同士の会議や自己研鑽に任せています。これまではデジタコ※のデータがそうした会議の資料でしたが、『運転診断』はより細かな情報を参照できるようになり、ドライバーそれぞれの技量向上への努力と反省に役立っているようです」(植竹氏)

最後に植竹氏は、今後の自社の展望について、以下のように語りました。

「これからも“保険料の25パーセント”を目安としたIC T投資を続け、取引先のお役に立ち、またドライバーが安心して働ける労働環境を作っていきたいと思います。また遠隔地への運送については弊社基準に合致すると考える協力会社にお手伝いいただいていますが、そうした協力会社に向けても、ICT導入の見本となり、ともに成長していきたいですね」(植竹氏)


  1. ※デジタコ:デジタルタコグラフの略。走行時間や走行速度、急加減速などのデータを記録し、運行終了後に第三者が運転の状況を確認できる装置のこと。

会社概要
株式会社新幸運輸倉庫
会社名
株式会社新幸運輸倉庫
創業
1976年(昭和51年)11月25日
本社所在地
茨城県猿島郡五霞町大字新幸谷256-1
代表取締役
植竹 一雄
事業内容
一般貨物自動車運送業・自動車運送取扱業・倉庫業(一時保管)・パレット洗浄業
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