ICT導入事例 -有田川町-

町独自のコンテンツが遠隔地の利用者に好評
電子書籍の貸し出しで利用者が拡大

普及が広がりつつある電子書籍。和歌山県有田川町(ありだがわちょう)の有田川町地域交流センター(ALEC※)では、電子書籍の貸し出しで利用者を大幅に拡大しています。

●導入の狙い:利用者の拡大
●導入の効果:遠隔地や町民以外の利用者も増え、約12万名の実績を実現

有田川町教育委員会 教育部 社会教育課 文化情報班 副班長 青石 賢治氏

▲有田川町教育委員会 教育部 社会教育課
文化情報班 副班長・青石 賢治

パソコンやスマートフォン、タブレット端末で読むことができる電子書籍は現在、本格的な普及期にあります。和歌山県有田川町の「ALEC(有田川町地域交流センター)」では、4年前の平成23年から「電子書籍の貸し出し」を始めました。

「平成21年に完成したこの施設が目指したのは、読みやすい実用書中心の図書館です。高価な専門書をそろえても、読んでいただけなければ意味がないからです」(青石氏)


「本のあるカフェ」がコンセプト

館内の雰囲気も、“普通の図書館”とはかなり異なります。エントランスを入ると、長いアプローチにはクラシックカーやレーシングカーなど、ふと足を止めたくなるような展示物が並びます。大きな窓から明るい日差しが入る閲覧室では、飲み物、食べ物を片手に本に没頭する人のほか、雑談するグループも見られます。そして「マンガ館」には3万冊のコミックが用意されています。

「『本のあるカフェ』をコンセプトに、利用者がリラックスできる環境づくりを大切にしました。借り出した利用者の多くは自宅で飲食しながら本を読みますから、図書館だけを飲食禁止にする理由はありません。またくつろげる空間を目指し、私語もOKとしました」(青石氏)

エントランスのアプローチに展示されているクラシックカーとスポーツカー・ロータスヨーロッパ。奥には子どもが遊べるおもちゃの車もあります

▲エントランスのアプローチに展示されているクラシックカーとスポーツカー・ロータスヨーロッパ。奥には子どもが遊べるおもちゃの車もあります

閲覧室では、奥のカフェで買ったコーヒーを飲みながら本を楽しめ、外のテラスでもくつろげます

▲閲覧室では、奥のカフェで買ったコーヒーを飲みながら本を楽しめ、外のテラスでもくつろげます

「マンガ館」には、少年マンガ、少女マンガ3万冊のほか、実用書もそろえ、利用者のニーズに応えています

▲「マンガ館」には、少年マンガ、少女マンガ3万冊のほか、実用書もそろえ、利用者のニーズに応えています


図書館コンシェルジュが季節ごとの企画展示を実施

こうした考え方には、当初、さまざまな反発もあったそうです。しかし青石氏らは、「利用者数」こそが答えになると考えました。

「目標の年間利用客8万名に対し、現在の実績は12万名近くです。これは人口27,000名程度の町では、十分でしょう」(青石氏)

もちろん、読みやすい本と雰囲気だけで、利用者を集めるのは困難です。その陰には、地道な努力もありました。

「当館の『図書館コンシェルジュ』が、クリスマスならプレゼントに添えるカードの作り方の本、春から初夏は自転車関連の本といった企画展示を行います。これがご好評をいただいているのです」(青石氏)

電子書籍の貸し出しでさらなる利用者増を目指す

電子書籍の貸し出しも、こうした「利用者増」を目指してのものでした。

「有田川町は東西に広く、ALECまで車で1時間以上かかる地区もあります。電子書籍なら、『図書貸出利用カード』の登録に一度お越しいただくだけで、インターネットさえあれば、どこからでも利用できます。この4月には、町民以外にもカードの発行を始めました」(青石氏)

同図書館の電子図書館サイト「有田川Web-Library」は、クラウド方式の電子書籍貸し出しサービス会社を利用したものですが、サービス導入にあたり、いくつかの課題が明らかになりました。

「紙の本と同様に“読みやすい本”をそろえる予定でしたが、販売されている新刊すべてが、貸し出しサービスに提供されているわけではなかったのです。また同時貸し出し冊数、つまりライセンスも、最低利用が3ライセンスになっている本もあり、『こちらの必要に合わせて本をそろえる』わけにはいきませんでした」(青石氏)

有田川Web Library

町独自のコンテンツの電子書籍化が好評

図書館コンシェルジュが作成した有田川町のガイド「ALEC通信」も電子書籍化されています

▲図書館コンシェルジュが作成した有田川町のガイド「ALEC通信」も電子書籍化されています

そこで着目したのが、有田川町が自由に使えるコンテンツです。

「小学生の文集『有田の子』に掲載された作文を書いた子どもに朗読してもらい、音声付きの電子書籍としました。これは遠隔地に住む親戚の方などにもお読みいただけ、好評でしたね。また図書館コンシェルジュが制作した有田川町のガイドを1年分まとめて電子書籍化しています」(青石氏)

ほかにも既存のシステムと電子書籍貸し出しシステムとの連携など、苦労した点はあったと言います。


学校図書館とのシステム連携も構築中

「いまは学校図書館とのシステム連携を構築中です。これが完成すれば、学校の授業でこちらの電子書籍を教材として使ってもらうことも可能になるので、地域の子どもの学力向上が期待できます」(青石氏)

さまざまな取り組みにチャレンジする有田川町の5年後、10年後が楽しみです。

※ALEC:A(Aridagawa)、L(Local)、E(Exchange)、C(Center)の頭文字を合わせたもの。

組織概要
パシフィックリーグマーケティング株式会社
組織名
和歌山県有田川町
所在地
和歌山県有田郡有田川町大字下津野2018-4
町長
中山 正隆
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