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生産性を大きく向上させる“ソフトウェアのロボット”、RPAとは?

人間に代わってオフィスでパソコンを操作して作業を行うRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が、今注目されています。RPAとは具体的にどのようなことができるのか、どのような事業所にメリットがあるのかなどを、株式会社エヌ・ティ・ティ・データに聞きました。

これまで人間が行っていたパソコン上の作業を“ロボット”が代行

—RPAとはどういうものか、概要を教えてください。

中川 現在、工場などの生産現場はロボットによる自動化と改善活動が進み、高いレベルの業務効率化を達成しています。しかし、オフィスにおけるパソコンを使った作業では、人の手によるコピー&ペーストなどの定型作業が残っています。RPAとは、パソコン上でロボットのように動くソフトウェアのことで、こうした人の作業を代替して自動化するものです。複数のファイルを開き、特定の部分をコピー&ペーストする、一定の処理が終わったファイルを保存し、プリントアウトするといった作業を、人間と同様に、かつ疲れることなく正確に繰り返すことができます。つまりこうした単純作業をRPAに置き換えることで、コスト削減と業務効率化が達成できるのです。

—RPAは、どんな業務環境に導入すると効果がありますか。

中川 現在のオフィスでは、ERPパッケージ※などのシステムが幅広く活用されています。しかし、システム操作自体が大変であったり、システムとシステムが接続されておらず、片方のシステムからデータを抽出し、そのデータに手を加えたものを、他方のシステムにアップロードする、といった作業が大変であったりするケースは珍しくありません。

 また、クラウド型サービスなどは、人手を介してブラウザの画面へデータを入力する作業が前提となっています。こうした作業を自動化するには、前者では多くの予算を必要とするシステム改修が、後者ではクラウド提供元の他社との煩雑な調整が必要になります。RPAであれば、このような環境においても、既存のシステムに手を加えることなく、自動化することが可能となります。

休みなく働くことで人間の約9倍の生産性を実現

—RPAの具体的な利用方法について教えてください。

中川 RPAの作業手順の作り方は、大きく三種類あります。一つめは、人がRPAをインストールしたパソコンで作業し、その手順を覚えさせるというものです。二つめは、RPAの動作を規定したパーツをパズルのように組み合わせ、RPAの作業手順を組み立てるという方法です。三つめが、プログラミングに近い形で作業手順を作りこむ方法です。特に、最初の二つの作り方の進歩により、RPAはプログラミング知識のない業務担当者でも現場で自動化できる手段としての評判を呼び、爆発的なヒットにつながりました。

—このRPAの導入で、どのくらいの業務効率化が図れるのでしょうか。

中川 私どもは大まかに見て、約9倍の生産性向上が図れるとご案内しています。RPAは一般的な人に比べて約3倍の速度でパソコンの操作ができます。また、人の労働時間は1日8時間ですが、RPAはその3倍、24時間休むことなく働き続けることができるからです。例えば、金融機関などでは、正確を期すために同じ作業を二人の人間が行い、最終的に突合するというフローを導入しているところもありますが、片方をRPAが、片方を人間がやれば、単純に人的コストを半分にすることができます。

業務効率化以外にも、人の効率的配置などにメリットが

—RPAの導入で、そうした業務効率化以外のメリットはありますか。

中川 まずは人為的ミスの消滅です。単純なコピー&ペースト作業でも、人間が行う以上、ミスは避けられません。しかし、RPAは疲れることなく何時間でも同じ作業をミスなく繰り返すことができます。次に、業務フローの見える化と改善です。RPAの作業手順を作る過程で、業務フローが明らかになります。そこで、そもそも必要のなかった作業や、順序を変えるほうが上手くいく作業などが洗い出され、フロー自体が改善されるのです。そして、人的リソースの最適な配置です。RPAの導入で削減された人手は、例えば営業や窓口でのお客さま対応など、人間にしかできない業務に振り向けることが可能となります。今後は少子高齢化、働き方改革により、これまで回っていた業務フローまで、人手不足で継続が困難になることが予想されます。そのような状況において、RPAは大きな助けになるはずです。

—逆にRPAが苦手とする業務はありますか。

中川 現在のRPAには、理想のAI(人工知能)のように曖昧な判断をする機能はなく、あくまで定型的作業を繰り返すだけです。そのため、作業を覚えたフォーマットとは異なるファイルが届いてしまうと扱えませんし、フォーマット欄外にコメントが添えてあっても気がつかずにそのまま処理をしてしまいます。このあたりは、処理の前後で人が確認するなど、RPAの苦手な例外事象をカバーする業務フローが必要となります。

10名規模以上の企業であれば、どのような業種にも効果が

—RPAはどのような規模、どのような業種での導入に効果があるのでしょうか。

中川 1,200社の弊社導入実績を分析しましても、10名規模以上の企業であれば、業種を問わず十分な効果が出ていると言えます。

—気になるコストですが、どのくらいになりますか?

中川 弊社が取り扱う商品では、動作手順を作れるRP Aが1台あたり定価約90万円/年、手順の実行だけ行うRPAが1台約24万円/年です。最小構成では、年間約90万円で9人力のロボットを導入できるということになります。

—最後にRPAの導入を考えている企業へのアドバイスをお願いします。

中川 弊社に限らず、RPAを取り扱う事業者は、ほぼすべてトライアルプランを設けていますので、相談してみてください。また、RPA研修も各社から提供されていますので、こちらをご受講いただくのが、最もお手軽かと思います。実際に触れてみることで「この業務に活用できる」「あんなことも自動化してみたい」というイメージが膨らむはずです。

※ERPパッケージ:部門や業務別に蓄積されているシステムの情報を一元管理するパッケージシステム。

会社名 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
設立 1988年(昭和63年)5月23日
本社所在地 東京都江東区豊洲3-3-3 豊洲センタービル
代表取締役社長 本間 洋
事業内容 システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業、そのほか、これらに関する一切の事業
URL https://winactor.com

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