ICTソリューション紹介

大規模災害に備えた通信会社の取り組みとは?

「通信手段の確保」は、大規模災害時の救援や復旧活動に大きな役割を果たします。ふだんは「使えて当たり前」と思っている固定電話や携帯電話の大規模災害時の取り組みについて、ご紹介します。

重要な電話が優先的につながる仕組みとは

地震や津波などの大規模災害が発生すると、まず気になるのは被災地域に住む家族や知人の安否です。また被災地域に住む人は、被災状況を知らせ、支援を求める必要に迫られます。こうした連絡手段として、最近ではTwitterやLINEなどのSNSの活用も広がってきてはいますが、やはり電話による被災地への安否確認の連絡(いわゆる「見舞い呼」)が多く、時には通話の集中で電話回線がパンクして官公庁や病院など、救援活動に必要な通話が困難になり、救援の遅れによる二次的な被害につながるおそれもあります。

また大規模災害により電話回線や基地局が損傷したり、災害を起因とする停電で、電話システムそのものがダウンすると、被災地域の状況が分かりにくくなり、適切な救援の手だてがとれない可能性もあります。

こうした事態を防ぐため、大規模災害発生時には各通信会社は企業や家庭の固定電話、一般の携帯電話からの発信を規制し、救援に重要な役割を果たす通話が優先的につながるように設定したり、通信が途絶している地域に代替となる通信手段を用意するなど、迅速な復旧に向け協力体制を構築します。

電話網に負担をかけない連絡手段を用意

もちろん発信を規制するだけでは、安否を気遣う人々の不安、支援を求める人々の要請に応えることはできません。そこで各通信会社は、一般ユーザー向けに、電話での通話に代わる安否確認サービスを用意しています。NTT東日本、NTT西日本の「災害用伝言ダイヤル(171)」は、手がかりとなる電話番号とともに30秒以内の伝言を録音し、第三者が再生、返答できるサービスです。また「災害用伝言板(web171)」は、インターネットを経由してサーバーに100文字以下の伝言を残すことができます。

NTTドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイルなどの各携帯電話会社も、同様の機能を持つ「災害用伝言板」を、それぞれ用意しています。この「災害用伝言板」は利用者の利便性に配慮し、各通信会社の協力のもと、ほかの通信会社で登録された情報でも検索できる仕組みが導入されています。

一方、電話が通じなくなった地域や、自宅を離れ避難所で生活する人々への代替の通信手段としては、NTT東日本、NTT西日本が避難所に被災者が無料で利用できる特設公衆電話を設置するほか、各携帯電話会社も携帯電話、さらには通信衛星を経由して固定電話や携帯電話との通話ができる衛星携帯電話を貸与するなどの救援策を用意しています。

「いざという時」のため、ふだんの備えを

こうした活動の具体例として、本年4月に発生した熊本地震での対応を、NTT西日本にお聞きしました。

「熊本地震では、のちに『前震』と判断された4月14日(木)21時26分の震度7の地震発生から14分後の21時40分に、災害用伝言ダイヤルを設置しました。この災害用伝言ダイヤルは16日(土)の、同じく震度7の本震をまたぎ、5月31日(火)まで提供され、期間中に録音と再生合わせて約7万8,000件の利用がありました。また同じく設置された災害用伝言板も、同時期に登録、閲覧合わせ約13万2,000件のご利用があり、ともに被災者からの安否情報の発信、家族や知人からのその確認に役立ったのではないかと考えています。また各地の避難所には固定電話網や移動可能な衛星通信基地局を使った特設公衆電話を設置し、多くの方々にご利用いただきました」(NTT西日本)

そして災害への対応に向けては、私たち利用者のふだんからの心構えと準備が重要となります。

「災害時伝言ダイヤルは、毎月1日と15日、防災週間など、体験利用できる時期を設けています。いざという時に備えるため、まずご家族で『連絡のキーとなる電話番号』を決め、こうした体験利用を通じ、使い方を確認していただければと思っています」(NTT西日本)

私たち利用者は、こうした大規模災害が“起こりうるもの”と認識し、各通信会社の提供する災害時のサービスについて知識を深めておくことが大切です。万一の際のスムーズな安否確認や不安の解消のために、ぜひ身近な方とお話し合いを持たれてみてはいかがでしょうか。

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