モバイル活用事例(船橋新京成バス株式会社)

バスの運行状況をリアルタイムに把握 スマート運行でお客様のイライラを軽減

足立 紳一郎氏

船橋新京成バス株式会社
営業部 営業課長
足立 紳一郎氏

宮本 敏夫氏

習志野新京成バス株式会社
営業部 営業課長
宮本 敏夫氏

中嶋 貞治氏

松戸新京成バス株式会社
営業部 営業課長
中嶋 貞治氏

2012年2月、携帯電話やスマートフォン、パソコンなどからバスの運行状況を確認できる新バスロケーションシステム(以下、新バスロケ)を、千葉県北西部を営業エリアとする新京成グループのバス会社3社が導入しました。遅延などが生じても到着時間が把握できるため、お客様からも「イライラが軽減された」と好評です。導入に至った背景、システム概要などについて3社の営業課長にお話を伺いました。

お客様が自らバスの状況を確認できる「Bus-Vision」

乗客はBus-Visionで自分が乗りたいバスの運行状況を自らチェックすることができる。
乗客はBus-Visionで自分が乗りたいバスの運行状況を自らチェックすることができる。
接近表示器が設置された鉄道駅では、現在のバス運行状況が一目で分かるので、乗客からも好評だ。
接近表示器が設置された鉄道駅では、現在のバス運行状況が一目で分かるので、乗客からも好評だ。

 新バスロケを導入したのは、船橋新京成バス株式会社、習志野新京成バス株式会社、松戸新京成バス株式会社の3社です。以前は同じ新京成電鉄株式会社の自動車部門でしたが、2003年10月から現在の3法人に分かれています。バスの車両数は、船橋新京成バス98台、習志野新京成バス46台、松戸新京成バス91台。3社合わせて37路線あり、1日の利用者は約7万5000人に上ります。
 従来のバスロケについては、1983年から鎌ヶ谷営業所(現在の船橋新京成バス)と習志野営業所(現在の習志野新京成バス)で導入していました。これは、電柱及び独自に立てたアンテナを利用したもので、バスがその下を通ると通過を感知し、有線でバスの位置情報を営業所のコンピュータに送るというものでした。これらの情報はバスの運行管理業務の他、運行状況に関するお客様からの問い合わせに活用したり、主要バス停に設けた接近表示機に反映させたりするなど、お客様サービスとしても利用していました。以後、システム拡大などを重ねてきましたが、老朽化などの理由により、2010年からシステムの全面的なリニューアルを検討してきました。
 新システムは、株式会社リオス(岡山県岡山市)が提供するクラウドサービスで、2012年2月から稼働しています。従来のシステムは主にバス会社の業務用として開発・運用されていたのに対し、新システムはお客様へのサービス向上を前提に開発されました。携帯電話やスマートフォンまたは自宅のパソコンなどから、バスの運行状況をお客様が自ら確認できるからです。特にお客様向けに公開されたシステムは「Bus-Vision(バスビジョン)」と呼んでいます。

臨時バスの案内などイレギュラーに対応

バス運行状況の把握がより正確になったため、乗客からの問い合わせにも的確に応対できる。特に臨時バスの運行時には効果的だ。
バス運行状況の把握がより正確になったため、乗客からの問い合わせにも的確に応対できる。特に臨時バスの運行時には効果的だ。

 新バスロケは、次のような仕組みです。まず、路線を運行中の各バスから運行状況(現在地や進行方向など)がパケット通信されてきます。次に、情報をクラウドに集約し、各バスが正規の運行時刻に対しそれぞれ何分遅れているかを計測し、「Bus-Vision」へと反映させます。「運転士が車内放送の音声合成装置のボタンを押すたびに、またはドアの開閉のたびに、バスからパケットが自動送信されます。こうした動きがない区間でも約10分置きに自動送信され、ほぼリアルタイムの位置情報が得られます」と松戸新京成バス 営業部 営業課長 中嶋貞治氏は、その高精度の理由を説明します。
 では、こうした位置情報は、どのように利用されるのでしょうか。
 事業者側の用途としては、まず配車の合理化を挙げることができます。各社とも新型バス、旧型バス合わせて50~100台を保有する中、長い路線や短い路線それぞれに合わせて配車する必要があります。減価償却の観点から、各バスの走行距離がなるべく平準になるよう、毎日ローテーションしているのです。この際、各バスに載せたGPS(位置情報通知システム)付きのデジタルタコグラフ(運行記録用計器)のデータと新バスロケのデータを合体させ、これを車両情報として毎日の配車に活用しているのです。
 次に、お客様サービスとしての利用法です。これまでは、お客様からの「あと何分でバスは到着するのか」という問い合わせに対して大まかな回答しかできませんでした。バスの位置を確認するチェックポイントの目が粗かったからです。これに対し「ほぼリアルタイムに位置情報を取れる新バスロケでは、『いま○○地点を走っているから、あと○分で着くでしょう』と、より正確にお答えできるようになりました。お客様にご納得いただけるようになったと実感します」と習志野新京成バス 営業部 営業課長 宮本敏夫氏は語ります。
 新バスロケの効果は、イベントなどで臨時便が運行される際に最大限の能力を発揮します。「3社の路線には中学校や高等学校、プロ野球の2軍チームの本拠地があるエリアがあり、年間50回ほどある野球の試合やイベントの他、学校の入学試験、見学会などのシーズンには臨時バスを運行しています。この時期は乗り慣れていないお客様も多く、問い合わせが増えますが、的確にご案内できます」と船橋新京成バス 営業部 営業課長 足立紳一郎氏は語ります。

下車するバス停までの到着予定時間も予測可能

 お客様側のメリットは、「Bus-Vision」を見れば、わざわざバス会社に問い合わせなくても自分でバスの運行状況を確認することができる点です。「Bus-Vision」はスマートフォンやパソコンのほか、従来型の携帯電話でも見ることができます。出発前に自宅のパソコンで確認し、最寄りのバス停でも携帯電話やスマートフォンで再度確認ができます。
 さらに乗車後は、そのバスの車両番号を入力することで、その後の各バス停への到着予定時間を表示させることもできます。これは、自分が乗っているバスの1台前を走るバスの運行情報を基に遅れの程度を予想させる仕組みで、運行本数が多い路線であればあるほど、その予想値の正確性は高まるとのことです。
 2012年12月には、始発地点の予測を表示できるようにシステムを改良しました。1日にバスは同じ路線を数回走行します。駅前などのターミナルでは5分程度の停車時間を取って折り返し発車しますが、前の運行で5分以上遅れてしまうと、ところてん式に次の始発も遅れてしまいます。この遅れを予想し「Bus-Vision」に反映させるようにしたのです。
 こうしたお客様視点に立つ点が評価され、2012年8月には船橋市立医療センター(病院)に「Bus-Vision」専用の液晶モニターが置かれました。今後も、同じような公共機関への設置が期待されています。

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