ICTコラム

第39回 SEOの基本を徹底し、ウェブサイトからの問い合わせ数を300%アップさせた事例

企業のウェブマーケティング戦略とは

 企業が、ホームページを活用して成果を上げるには、必ず成長サイクルを作らなければなりません。予算が少ない企業としてはSEOとウェブサイトの改善に力をいれて勝負しなければならないので、必ず分析をして効果の高い改善ポイントをみつけることが必要です。

 今回は、SEOにより月間の問い合わせ数が300%に成長した埼玉県にある外構専門店のウェブ解析による改善例を引き合いに、広告費0円でコンバージョンを達成するためのポイントを解説してみたい。

“成長サイクルの構築”が重要

 門や車庫といった、構造物の工事や施工を行うのが外構業である。この業種は大手の介入が少ない。依頼主はコストダウンのために建築業者ではなく、外構専門会社に直接依頼することが多いからだ。そのため、インターネットとの相性がよく、検索からの流入も多いとされる。

 格安外構専門店のヒライエクステリアは、月に40件まで問い合わせ数を増やしていた。以降の問い合わせ数は伸び悩み、弊社へコンタクトがあった。詳細な話をうかがい状況を把握したところ、同社の成長サイクル(目標設定→流入対策→ウェブサイト分析→ウェブサイト改善)を構築していくことが最善策であると結論付け、ウェブサイトの分析と、それに基づいたウェブサイトの改善を提案し最高で月間で約180件まで問い合わせを増やしている。

3C分析からSEO施策までの道筋

 フレームワーク「3C分析」を用いて「顧客」「競合」「自社」の関係から競合他社と差別化できる強みとなるスイートスポットを探ってみる。Google広告のサービスであるキーワードプランナー(https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/)により、表示は出ているのにクリック率が低いキーワードの説明文の改善や、Googleアナリティクスから直帰率が低くコンバージョンをしているターゲットキーワードを知ることが重要である。

 具体的には、競合分析の結果、重要キーワードの上位に出てくる競合のタグや広告を分析し、SEOの上位施策やリスティング広告の検索結果で上位の面を取ることが重要であると判断した。さらに自社分析からは、商業エリアが絞られているため、Googleアナリティクスのセグメント設定で「エリアを近隣県に絞ったアクセス解析」でターゲットとなるお客さまの行動を明確にし、問い合わせに対して決め手となるページを発見することとした。

 こういった分析を行うことでPDCAサイクルを正しく回すことができ、短期間でサイトの成果を引き出すことができる。

アクセス解析で重要ページを選択

 さらに現実に即した、顧客視点のウェブサイトへと改善していくため、アクセス解析データからも打ち手を模索した。

 アクセス解析から得られたのは、「施工事例」を経由しての問い合わせが多いことである。そこで、目標を達成するために必要なKPIと、競合他社に勝つためにUSP(自社の強みや売り)を明確にする必要がある。

 ちなみに、ヒライエクステリアは、他社と比べて施工数が多いので、ウェブサイトで施工事例数を増やすことをUSPとして考えた。

施工事例を使った三つのSEO施策

 上述のような下調べを行ったうえで、三つのSEO施策を実施することとした。施策は、施工事例を軸として問い合わせへの流入を増やすこと、また、コンテンツに流入してほしいキーワードを増やすことを目的として行った。

施策1:「設置施工事例」のジャンル分け

 「ウッドデッキ」「駐車場」「カーポート」「テラス」「物置」などの工事ジャンルをカテゴリ分けすることで、検索流入を増やす。

施策2:「地域別カテゴリ」を設置

 埼玉県全域ではなく、業務が行える市町村名を「地域」として明記することで、「地域名+ジャンル」での検索流入を増やす。

施策3:施工事例の詳細をカテゴリ分け

 ページの滞在時間を増やすため、施工事例で使用した商品やシチュエーションなどを理解できるように整理した。SEOとしては基本であり、まずはコンテンツを整理することが最適化への近道である。

社内ウェブデザイナーを採用

 当初は外構に関するキーワードにてリスティング広告も出稿していたが、一部のキーワードはクリック率が高いのにも関わらず、離脱率も高いという現象が起きていた。ランディングページにおけるサービス説明が不十分であると考え、詳細な説明を加え内容を充実させたところ、離脱率の改善が見られた。

 さらに改善のスピードを最大化するため、社内にウェブデザイナーを採用。弊社の分析結果を即座にサイト改善へとつなげる重要な役割を担ってもらっている。最近ではチャットワークなどのコミュニケーションツールを利用したオンラインミーティングにより、着実なコミュニケーションを図れるようになった。

“小さな塊”としての分析と施策

 リスティング広告とリマーケティング広告を止め、広告費を0円にしても問い合わせ数は伸び続け、利益率の高い成長サイクルを構築できるようになった。その要因は、何よりもSEOを徹底したことである。

 ヒライエクステリアがここまで伸びた秘訣は「サイクルの高速化」の実現であり、何よりも代表の素早い決断によるものだ。ミーティングの場では「やる/やらない」をすべて決めていただき、成長サイクルの高速化を実現できたのである。ヒートマップツールや検索順位をチェックできるツールGRC(http://seopro.jp/grc/)、Google広告のサーチコンソールなどのツールを導入することもまた、スピーディーな決断を行う体制作りの要因となっていた。

 ウェブ解析によるサイト改善には、費用と時間をともなう。しかし、大規模なリニューアルのように“大きな塊”ではなく、“小さな塊”として分析と施策を繰り返すことで、成長サイクルを回すことができるようになった。

林 弘之氏

ウェブ解析士マスターで2001年創業の株式会社ブルーベア代表取締役をしています。

当社のテーマはお客さまの成長サイクルの最大化です。
リスティングとアクセス解析の専門店からお客さまの成果を最大化するために、「ウェブマーケ内製化サポートの専門店」として社内運用のサポートをしております。

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