電話応対でCS向上事例

-グラクソ・スミスクライン株式会社-
「患者さん中心」という価値観の重視が企業電話応対コンテストでの好成績として結実

グラクソ・スミスクライン株式会社は、カスタマー・ケア・センターの応対品質を把握するため、企業電話応対コンテストに参加。その好成績が営業部門の販売促進活動に好影響を与えています。

会社概要について教えてください。

  • ▲カスタマー・ケア・センター
    センター長
    酒井 貴美子

     GSK(グラクソ・スミスクライン)グループは科学に根ざしたグローバルヘルスケア企業としまして、「生きる喜びを、もっと」をより多くの人々に届けられるよう、世界中の人々がより充実して心身とも健康で長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くしています。弊社はそのGSKグループの日本法人で、医療用医薬品の研究開発、輸入、製造販売が主な事業内容です。(酒井氏)

電話の向こうに「患者さん」が存在することを常に意識して応対

御社における、電話応対部門の位置付けについて教えてください。

 私どもは「患者さん中心」という価値観を重視しています。カスタマー・ケア・センター(以下CCC)は、そうした患者さんの声を直接うかがう大切な窓口です。私どもでは電話応対するスタッフを、会社を代表し応対するという意味合いから、レプリゼンタティブ(代表者)、略してレップと呼んでいます。(酒井氏)

カスタマー・ケア・センターには、どのような問い合わせが多いのでしょうか。

 いただく電話のほとんどは、医師、薬剤師の方など医療従事者からで、内容は薬の効能、副作用、ほかの薬との併用などが中心です。また患者さんからは呼吸器疾患治療のための吸入薬服用に用いる吸入器の使い方について、多く問い合わせをいただきます。これは吸入器本体に、問い合わせ先としてCCCに設けた「吸入サポートデスク」の電話番号を記載しているためです。(酒井氏)

薬というデリケートな製品への問い合わせを受けるにあたり、特に留意されていることはありますか。

 医療従事者からの電話でも、その向こう側にいる患者さんを常に考えて応対しています。患者さんの健康を取り戻すことは、医師、薬剤師の方と私たちに共通する想いです。そのため訊かれたことに答えるだけではなく、「質問の背景には何があるのか」を考え、時には質問もさせていただくことで、患者さんにとって、最適な答えをお伝えするようにしています。また急ぎの場合はまず結論を申し上げてから質問に入る、その薬の処方が初めてのようであれば、よりしっかりした説明を心がけるなど、問い合わせに合わせた応対を心がけています。(酒井氏)

定期的トレーニングの導入で応対品質を高いレベルで維持

そうした“聞き出す力”を養うための取り組みについて教えてください。

 まず新人には100本近いロールプレイを行います。すでに業務に就いているレップにも、スキルが高いレベルで保てるよう、定期的なグループモニタリング、SV(supervisor)とトレーニング担当者によるチェック、月次研修を行っています。また「患者さん中心」の価値観を身近にするため、患者さんのビデオを見て患者さんご自身やご家族の心情を理解するマインド面の研修も、全社的に取り入れています。(酒井氏)

いただいたご質問やご意見は社内でどのように共有し、役立てていますか。

 医療従事者からの問い合わせは、すぐに医薬情報担当者(MR)に連絡し、必要に応じてMRがフォローに回ります。また問い合わせは製品の改良にも役立てています。吸入器本体への電話番号の記載も「連絡先が分かりにくい」という患者さんの声を反映し、導入したものです。(酒井氏)

企業電話応対コンテストでの好成績がモチベーション向上と営業支援に貢献

企業電話応対コンテストへの参加動機を教えてください。

 正確な実力を把握するためには、他社の応対レベルも熟知している第三者による客観的な評価が必要だと考えたことが動機です。またミステリーコールで高い評価を得るためには、センター自体の応対品質が平均して高くなければなりません。そうした目標に向かって努力することが品質の向上につながると考えたこともポイントでした。(酒井氏)

参加後にみられた効果や、応対の変化についてお聞かせください。

 毎回、審査したコールについての詳しい評価で弱点とされた部分を真摯に受け止め、今後の改善策に役立てています。2016年度のコンテストでは「吸入サポートデスク」への問い合わせで、非常に優れた賞をいただきました。吸入薬の事業分野は会社としても力を入れていることから、社内でのCCCの存在感が大きくなり、レップのモチベーション向上につながりました。「患者さんのために」を思っての応対が受賞したことにより、MRによる医療従事者へのご案内にも説得力が増したという評価もいただいています。(酒井氏)

高いスキルを持つスタッフが、長く安心して働ける職場環境に配慮

コールセンターのAI化について、どうお考えですか。

 お客さまやレップにとってメリットがあることから導入を検討していくことになると思いますが、電話応対をAIに完全に置き換え、人間による電話応対がなくなることは当分ないと考えています。なぜなら、お客さまのちょっとしたニュアンスを読み取れるのは人間だからこそできることなのです。またそうした技術の習得には時間がかかることから、会社としても充実したトレーニングと働きやすい職場環境で、できるだけ長期間働いてほしいと考えています。(酒井氏)

最後に、日本電信電話ユーザ協会に対して、ご要望があればお聞かせください。

 ユーザ協会さまには「人間だからできる質の高い電話応対技術」の習得に向け、引き続きご指導していただきたいと思っております。これからもご指導のほど、よろしくお願いします。(酒井氏)

会社名 グラクソ・スミスクライン株式会社
設立 1953年(昭和28年)8月18日
本社所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15
代表取締役社長 菊池 加奈子
資本金 20億6,741万円
事業内容 医療用医薬品の研究開発、輸入、製造、販売
URL http://jp.gsk.com/

関連記事

入会のご案内

電話応対教育とICT活用推進による、
社内の人材育成や生産性の向上に貢献致します。

ご入会のお申込みはこちら