電話応対でCS向上コラム

第7回 苦情には「理屈の納得」より「感情の納得」が大事

ビジネスの世界の電話応対では、苦情、クレームは避けて通れないリスクです。今回は、苦情応対に当って必要なワンポイントをお話します。苦情を受けると、私たちは、すぐにこちらの立場や考え方を説明して、何とか納得してもらおうと頑張ります。それが往々にして感情をこじらせてクレームにまでなるのです。

正論でお客様を言い負かさない

会費を払いに行ったら「払込期日が過ぎているので会員資格が失効しています」と言われた。いきなり失効というのはおかしい、と言うと「お出しした督促状に書いてあります」と言う。「督促状など見ていない」「そんなはずはありません。必ずチェックしてお出ししています」。こうなると水掛け論です。絶対に出したという自信がありますと、強く主張します。お客さまを言い負かしたり、その場は何とか強引に収めたとしても、納得していないお客さまには、あとに必ず感情的なしこりが残ります。

納得には「理屈の納得」と「感情の納得」の二つがある

苦情やクレームでは、正論を楯に理屈で納得を迫るより、感情の納得の方が大事です。お客さまを言い負かしてはいけません。それよりは、「理屈では納得できないけど、あなたの応対が良いから、気持ちとしては納得したよ」-そう言っていただける応対の方が、クレームを収めるには必要なのです。

気持ちに共感し、冷静になって聴く

では、「感情の納得」を得るにはどうすればよいのでしょうか。もちろんケースにもよりますが、原則は説明や説得を急がずに、まず誠実に話を聴くことです。このとき、ただ聴くのではなく、お客さまの気持ちに共感を示すこと、そして早く冷静になって、お客さまの言い分を分析しながら聴くのです。お客さまの言い分は、単なる質問か、何か要求があるのか、あるいは抗議か注文かを分析しながら聴くのです。分析しているうちに、さらに冷静になって落ち着きます。そうなれば、どう応対すればよいか、何を説明すればよいかなどの的確な判断が生まれます。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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