電話応対でCS向上コラム

第14回 心で聴き、心を伝える-SOMPOコミュニケーションズ株式会社-

商品を実感いただく瞬間の仕事

 私たちの会社は、お客さまからの事故連絡の対応や、代理店に営業支援を行うコールセンターを運営しております。私が入社したのは事故受付のセンターでしたが、初日に部長から言われた言葉がいまだに忘れられません。

 「保険という商品は目には見えません。お客さまが被害に遭われたその時に、初めて実感いただけるものになります。そして、その瞬間のお電話を受けるのが私たちの仕事です」軽い気持ちで入社した私には衝撃的な一言でした。しかし、同時にそのやりがいの大きさに、心奮い立つような感覚を覚えました。

頭の満足と心の満足

 今は、お客さまに「ここの保険に入っていて良かった」と思っていただけるよう、応対診断の仕組みを新たに作っています。

 まず着手したのは、「お客さまの声」をリアルタイムに聞けるアンケートシステムの導入です。これまでは、受付から支払い完了までのすべての工程を総合的に問うアンケートのみでしたが、新たに、事故受付時の対応のみに対するご意見をうかがうことを目的としたアンケートを導入しました。新しいアンケートではネットプロモータースコア(NPS)も使い、当社のサービスが人に勧められるかどうか(推奨度)を計測しています。NPSの回答は「推奨」「中立」「批判」の三つに区分けされます。

 次に、仕組み作りのために行ったのは、この「推奨」と回答してくださったお客さまのコメントから、キーワードを抽出することです。そして、そこからお客さまの期待に応える要素を取り出し、モニタリングシートに反映させました。今後は、定期的にモニタリング結果と「お客さまの声」を検証して、応対診断サイクルを回していく予定です。

 今回、分析をして気づいたことがあります。それは「推奨」と「中立」の間には大きな差があるということです。例えば、どちらも「ありがとうございました」というコメントだった場合でも、実際にその応対録音を聞いてみると、「中立」と回答くださった方々とのやりとりは決して良いものではありませんでした。正しいご案内はできていても、お客さまの気持ちを汲み取ることまではできていないものがほとんどでした。お客さまに「推奨」したいとまで思っていただくためには、頭(理性面)で満足いただくだけでなく、心(感情面)も満足いただくことが必要なのです。

心が届く環境作り

 私たちの会社には、このようなミッションステートメントがあります。「耳ではなく心で聴き、言葉ではなく心を伝えます」まさにこの「心で聴き、心を伝える」ことこそが、お客さまの「心」も満足いただくのに必要なことだと思います。電話応対コンクールや電話応対技能検定(もしもし検定)は、私たちが目指すものと近いテーマが多く、また、応対品質を可視化してくださるので、社内で大いに活用させていただいています。そして「お客さまの声」をよく聴き、さまざまな方法を活用して、心に届く応対ができる環境を作り、今日もミッション実現に取り組んでいます。

次回の講師は、三井住友海上あいおい生命株式会社の本間 陽子さんです。長年の電話業務での経験を活かして、業務・応対品質指導を行っています。オペレーターとの心の距離を意識したきめ細かな指導をされる企業内指導者です

小野口 理佳

SOMPOコミュニケーションズ株式会社 ビジネスソリューションズ部研修グループ所属。社内の人材育成、品質向上に従事し、自社内で電話応対技能検定(もしもし検定)の指導も行っている。電話応対技能検定指導者級資格保持者。

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