電話応対でCS向上コラム

第7回 満足から感動へ-株式会社ワールドプリントセンター-

顧客満足から顧客感動の時代へ

 CS=顧客満足の追求は今や当たり前となり、今後はどのようにしてお客さまに「感動」を体験していただけるかが求められている時代です。電話の向こう側にいるお客さまに「ああ、この人と話せて良かった!」「思い切って電話して良かった」「ここまで案内してくれるとは思わなかった」などなど。私自身がテレコミュニケーター時代の20年前には、多分気づいていなかったお客さまの心情を、指導する立場となった今は「本当にお客さまに満足いただいているのだろうか……」ということをいつも考えながら、お客さま対応の研修を日々行っております。

お客さまの気持ちに寄り添う大切さ

 お客さまからの質問に対して、業務知識を中心に説明を進めてしまい、お客さまの気持ちに全く気づくことができないテレコミュニケーターがとても多いように感じます。

 例えばある企業さまで、お客さまから「○○が壊れて困っているから早く修理にきてほしい」というような内容の問い合わせが入ると、ほとんどのテレコミュニケーターは壊れた状況、いつ行けるかの日程調整など、会社の都合を考えながらお客さまと話を進めます。残念ながら、お客さまの「困っている」「早く」などの気持ちに気づかず、言葉の一つとして聞き流してしまう場合が多いようです。お客さまの「早く」のご要望に添えない場合でも、初めに気持ちに寄り添う言葉掛けをしてから話を進めると、お客さまも「このテレコミュニケーターは分かってくれる」と理解され、その安心感から、ご希望に添えないことに対して譲歩してくださることもあります。

 医療機器を扱っている企業さまの場合、「人の命に関わる」という緊張のためか、特に業務知識についてのやり取りがすぐに始まってしまいます。プロの医療従事者が相手でも、気持ちの中には「不安」「どうしよう」「困った」「何とかして」などの気持ちを少なからず持って電話をかけてくると思います。どのようなお客さまでも、どれだけ気持ちを受け止められるか、ここがお客さまに満足以上の感動を体験していただく分かれ道だと思います。

意識が変わると行動が変わる

 個別の指導をする時、テレコミュニケーターへの技術的な指導だけでなく、お客さまの音声に注意することや、音声を聞いてお客さまがどう思っているかをテレコミュニケーターに問います。クレームのような、明らかに「怒り」を強く表現される場合を除き、ほとんどのテレコミュニケーターが気づいていないことが多いです。これからAIなどが普及すると言われている中で、人と人とのコミュニケーションの感動を一人でも多くのお客さまに体験していただける研修を行っていきたい、それにはテレコミュニケーターの意識を変えること、そして意識が変わることでお客さまに対する行動が変わることがCS向上につながる第一歩だと考えています。

次回の講師は、有限会社グレイスアカデミーの木邑 恭子先生です。いつも明るく素敵な木邑先生。明るく楽しい中にも説得力のあるお話しの仕方にいつも魅了されます

中里 美幸氏

株式会社ワールドプリントセンター所属。元株式会社ファンケル勤務。コールセンターのミッションを踏まえつつお客さまの心情を察知し、心とテクニカルの両面からお客さまの心理を受け止める音声表現指導を行う。電話応対技能検定指導者級資格保持者。全米、日本、NLP認定プロコーチ。NLPマスタープラクティショナー。

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