電話応対でCS向上コラム

第2回 お客さまに満足いただける応対を目指して-日本生命保険相互会社-

アンケートを活用したコーチング

 当社では、応対品質向上のため、お客さまアンケートを実施し、結果が芳しくなかった応対を題材として、コミュニケーターへ定期的にコーチングを実施しています。そのコーチングでの出来事です。

コーチングで分かるコミュニケーターの心理

 あるコミュニケーターの応対録音で、こんなやり取りがありました。解約理由を聞かれたお客さまが「払い込みが負担だから解約するんだよ」と笑いながら答えていたのですが、担当したコミュニケーターのその後の応対が実に素っ気なく、まるで切り急いでいるかのように聞こえたのです。そのコミュニケーターに「どうしてこのような応対をしたの?」「あなたはどう感じたの?」と質問しました。すると、「払い込みが負担だと笑いながらおっしゃったので、そこに触れられたくないのかなと思い、事務的に早く終わらせた」とのことでした。冷たくあしらうように聞こえた応対は、コミュニケーターの気づかいだったことが分かり、驚きました。

 また別のコミュニケーターのコーチングでは、説明が分かりにくいとご指摘を受けた原因が、ほかのことに気をとられていたからだと分かりました。ご契約内容は、契約者以外には説明できないことがあるため、契約者であるかどうかは、大事なポイントです。このコミュニケーターは、お客さまの答えが曖昧だったため、「契約者ではないかもしれない」と疑ってしまったそうです。そこで、肝心な質問を聞き逃し、説明が食い違い、まとまりのない説明になってしまいました。

 いずれも、応対録音を聞いただけではコミュニケーター自身の考えまでは理解できず、本人に直接訊かなければ分からないものだとつくづく思いました。

 身近な存在であるコミュニケーターの心理も読めないのですから、初めてのお客さまと接することは、とても難しいことだと感じました。

会話は一人では成り立たない

 良い応対は、まずお客さまを理解することから始まると思います。お客さまの言葉を聞き逃さず、敏感であること、経験値だけで決めつけない柔軟性と謙虚さが必要だと思います。お客さまに信頼していただき、お客さまから発信していただければ、会話は噛み合い、良い応対になるでしょう。良い会話は、応対者だけでは成り立たず、お客さまとの共同作業で作られるものです。応対者自ら、心を開き、お客さまと一緒に会話を作り上げていく、お客さまとの距離を縮めていける、そんな応対を目指していきたいと思います。

次回の講師は、ダイキン工業株式会社の水倉 直美さんです。バリバリの関西弁で、明るく真面目に品質向上に取り組む企業内指導者です。当社と合同で自主勉強会を主催するなど、会社の枠を超えて活躍され、尊敬する指導者仲間です

滝沢 直子氏

日本生命保険相互会社 コールセンター東京に所属。電話応対技能検定指導者級資格保持者。入社以来20年、コミュニケーターに始まり、指導者になるまでコールセンターに勤務。コールセンター一筋の企業内指導者。電話応対コンクールへ指導者として参加を機に、指導者級を取得。コールセンターの品質向上を牽引すべく、愛と情熱を持って日々取り組んでいます。

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