電話応対でCS向上コラム

第36回 相手の心に響く「気づきました」のサイン

自分にとって大切な人のことは、いつも気にかけていて、「あなたは、私にとって大切な人です」という気持ちを伝えたくなります。大切な人の、ちょっとした変化、特にその変化がその人にとって良いものだったら、「気づいていますよ」というサインを出しましょう。「今日はいつもと違うね」…。そんなちょっとした言葉が相手の心に響き、「ああ、私のことを見ていてくれるのだな」と嬉しくなるでしょう。

小さな変化をほめる

 相手の持ち物や服、容姿などをほめることは、初対面の人、出会ってから間もない人などをほめる時に適しています。相手と親しくなるにつれて、その人の「したこと」や「今努力していること」が見えてくるようになります。家の中がきれいになっているとか、部下の会議資料のまとめ方に一工夫がみられるなど、そんな小さな変化に気づき、一言伝えると、その人への励ましと感謝になります。人は意を汲み取ってもらうと嬉しいものですが、それが些細なことに対してであれば心に響きます。「私は気づきましたよ」というメッセージは友情の印であり、また、親子や恋人同士、夫婦の間の親密な愛情を深めるきっかけとなります。

良い結果が出ない時こそほめる

 多くの人は良い結果を出せなかった時、ほめることはないと思いがちです。ところが何かの結果を出そうと一生懸命やった結果、うまくいかなかった時は、「結果は残念だけど、精一杯頑張ったこと知ってるよ」とか、OKのハンドサインを出したり、親子や夫婦など親密な関係であれば、頭を撫でるなどのボディーランゲージを加えると、いっそう気持ちが伝わります。相手が子どもなら、腰を下げて、視線の高さに合わせましょう。特に頑張ったのに、あまり良い結果を出せなかったと落ち込んでいるような時は、そうした働きかけが重要な意味を持ちます。「よく頑張ったね」というほめ言葉は、相手の頑張りをずっと見守ってきた人が言ってこそ、相手の心に響くものです。

「いいな」と思ったところを具体的な言葉で伝える

 目上の人の業績をほめる時は、少し言葉の使い方が違ってきます。「よく頑張りましたね!」とは言いにくいような間柄だったら、評価するわけではないので、自分が「いいな」と思ったことを素直に伝えるようにしてみましょう。ほめ言葉は具体的であればあるほど相手に伝わりやすいので、例えば、講演会の後、講師に対して「先生の話はとても面白かったです」と漠然と言うのではなく、「お話の中にあったあのエピソード、身につまされました」「先生の若き日の失敗談、親しみを感じました」などと伝えたり、その人の仕事ぶり、ちょっとした気配りなどを具体的な言葉にして伝えてみましょう。

心の底から感心する

 ほんの短い言葉が、ほめ言葉となって相手の心に響く場合もあります。「昨日の体育の授業で、7段の跳び箱飛べたんだよ!」と誇らしげに言われたら、間をおかずに「ほぉー」「すごい!」と、感心しきった一言を発信します。それだけで相手の喜びが倍増します。このような相槌は、カウンセラーや、聞き役にとってとても重要で、相手が年下でも年上でも、会話の中で活きてきます。あなたの感心している素直な気持ちを伝えることも忘れないようにしましょう。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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