電話応対でCS向上コラム

第35回「好き」という気持ちを伝える

前回は、ほめ言葉は、相手の心をほぐし、気持ちを和らげる「心の潤滑油」であることを紹介しました。今回からは、具体的なほめ言葉を考えていきます。今回は、ほめ言葉の肝、自分の中にある「好き」とか「好ましい」という気持ちをどのような言葉にして表現すると称賛になるか、出発点は、どこが好きなのか、どんなところが「いい感じ」なのか、を具体的に伝えることです。相手は、自分の何が心地良く思われたかを知ることで、それを大切にしようという気持ちになるでしょう。相手の心に響く「いい感じ」には、以下のような具体的な言葉かけがあるでしょう。

気持ちをそのまま伝える

 自分が好ましいと感じたことを伝えるとほめることになる場合、大切なことは、自分が「いいなあ」と思っている気持ちを言葉にしてみることです。例えば、相手の持ち物や身につけている物など、自分が「好き」だと思ったところから始めてみましょう。洋服、アクセサリー、スカーフ、ネクタイ、時計、カバン……。「いいなあ」と思う気持ちをあなたの言葉で。例えば「ステキだ」と思ったら、「あなたのスカーフ、ステキですね」と。そのスカーフは自分が選んだものだったら自分自身もほめられた気持ちになるでしょう。

物の価値よりもセンスを

 とはいえ、「それエルメスのスカーフでしょ?さすがにステキね」とほめられると、どうでしょう? 悪い気はしませんが、ほめられているのはエルメスであって、自分ではないからピンときません。自分が身につけている物についてほめられる時は、物そのものの価値を認めてもらいたいということ以上に、それを選んだ自分のセンスや、それが似合う自分をほめられたと感じられる時ではないでしょうか。「そのエルメスのスカーフ、あなたにとっても似合っているわ」こんなふうに「自分と物」の組み合わせでほめられると、嬉しくなります。

生まれつきの資質

 声、顔、髪の毛、肌の色など、その人が生まれつき持っている「資質」にも、好ましい気持ちがわきます。例えば「よく通る声を持っていますね。いいなー」「さらさらと柔らかい髪でうらやましいわ」など。本人も気に入っていて、大切にしているとしたら、嬉しく思うでしょう。時に、あなたが「好き」でも相手はそう思っていない場合もありますが、あなたが好きなことを素直に伝えているので、相手を傷つけることにはならず、相手には新たな気づきになる可能性があります。

その人らしさ

 書く文字、文章のスタイル、話し方、表情、立ち居振る舞いなど、その人が生み出すその人らしさを「いいな」と思うこともあるでしょう。物そのものに比べると、その人の好み、努力や工夫などが加わった結果に対する好意なので、そちらを称賛することにもなります。例えば「あなたの指示の出し方は、明快でとても分かりやすいですね」「あなたの人へのやさしい言葉かけ、見習いたいと思います」など、自分の積極的な気持ちを伝えると称賛になります。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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