電話応対でCS向上コラム

第34回「ほめる」ことは人生を豊かにする潤滑油

前回は、関係をつなぐ言葉の大切さをご紹介しました。今回からは、ストレスを低減し、心を安定させ、関係をつなぐ言葉について考えていくことにします。まず、第17回で簡単に紹介したほめることについて詳しく取り上げます。
「ほめる」ことは、相手の心をほぐし、気持ちを和らげる効果が絶大です。話を聴きながら「それは素晴らしいね」「頑張ったね」などとほめ言葉で相づちを打つと、あなたの好意や関心が相手に伝わり、会話が円滑になります。

心の潤滑油になる「ほめ言葉」

 私たちは誰でも、心豊かに生きたいと願っています。心などに関心がないように見える人でも、幸せな気持ちやワクワクする思いを持ちたくないとは思っていないでしょう。心に沁みるほめ言葉や、厳しくても心に響く一言は、一日を豊かにしてくれます。私たちの日常の言葉の中で、とりわけ「ほめ言葉」は心の潤滑油になります。ほめ言葉には、積極的な思いが込められており、言葉を発した人の好意や関心、そして、その人のプラスの心の動きが伝わってきます。そんな言葉には「いいな」「好きだな」「すごい」といった感嘆の気持ち、「大丈夫」「頑張ったね」「感心しました」という相手への細やかな思いやり、「嬉しい」「ありがとう」などの感謝の気持ちが込められています。

ほめるのが下手な人のタイプ

 ほめ言葉は、いわば相手と自分の心のプラスのエネルギーを交換するかけ橋であり、お互いの心が広がり、動き出す力の元といえます。人間関係が豊かになれば、皆さんの可能性は広がり、良いことがたくさん起こることでしょう。しかし、ほめ言葉が私たちの人生を豊かにしてくれる潤滑油であるにもかかわらず、私たちは心を込めたほめ言葉を使うのが下手です。実は、ほめることが苦手な人、不得意な人にはいくつかのタイプがあるのです。

 ほめるのが苦手な人のタイプの一つが、いわゆる「完璧主義の人」です。「軽々しくほめることはできない」「100%でなければ、ほめられない」などと思う人です。あまりほめられた経験がないと、ほめ言葉を知らないため、出てこない人もいます。もう一つのタイプが、「ほめられた後に、よく何かを言いつけられたことのある人」です。「良い子だね。じゃ、これもしてね」とか、「あなたはすごい!」と言われた後に「これもお願い」と言いつけられるとほめ言葉を警戒するようになります。

目についた相手のプラス部分を称賛する

 「ほめる」には「称賛」と「賞賛」の二種類があります。称賛は「いいな」と思ったことを言葉で伝えることで、賞賛は褒美や賞金、賞状を与えることで表現されます。つまり、称賛は自分が「良いな」と感じればできますが、賞賛は他者より優れているとか、前と比べて進歩したという評価が必要なのです。前述した完璧主義の人やほめるには優れた点が必要と思っている人などは、賞賛をほめることだと思っているかもしれません。称賛できる人は、評価や比較には関係なく、「良いバッグですね」とか「スカーフの色合い、大好きです」と自分の積極的な気持ちや好意を伝えます。

「ほめる」には「称賛」と「賞賛」の二種類がある

「称賛」 = 「いいな」と思ったことを言葉で伝えること

称賛できる人は、評価や比較に関係なく「良いバッグですね」「スカーフの色合い、大好きです」と自分の積極的な気持ちや好意を伝える。

「賞賛」 = 褒美や賞金、賞状を与えること

賞賛は他者より優れているとか、前と比べて進歩したという評価が必要。
ほめるには優れた点が必要と思っている人は、賞賛をほめることと思っている。

 ほめ言葉の中には、魔法と言っても過言ではないほど、自分も相手も豊かにする魅力があります。次回からは、人生を豊かにする潤滑油の「ほめ言葉」を紹介していきます。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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