電話応対でCS向上コラム

第27回 子どもの話を聞く

子どもにとって話を聞いてもらえることはとても大切です。子どもは「聞いてくれる」と思っていれば話しますし、「聞いてくれない」と思っていると話しません。今回は、子どもの話の聞き方について紹介していきましょう。

子どもの気持ちに近づく

子どもは4、5歳になると、何に対しても「どうして?」と訊くようになります。家に遊びに来たおばさんが「じゃ、さようなら」と言うと、子どもは「どうして帰るの?」と訊きます。おばさんに帰ってほしくないので、理由が知りたいのです。「帰って寝るのよ」と言えば、「ふーん」と納得します。子どもの「どうして?」は「分かりたい」という気持ちの表現ですから、何らかの答えをちょっと与えればいいのです。

気持ちに共感してからのアドバイスが大切

小学校の高学年や中学生になった子どもに対して、親がよくやるのは、問題解決的に聞くこと。例えば、子どもが野球の試合に負けて帰ってきたとします。まず、その子どもが伝えたいのは悔しい気持ちです。そこで、親は「惜しかったね」と共感すればいいのに、「そんな時はこうしたほうがいい」と言ってしまうことがあります。子どもは、自分の気持ちを分かってもらえた後でなら、そうした意見も聞けますが、気持ちが分かってもらえない時には意見など聞けないでしょう。まず子どもの気持ちに共感してからアドバイスすることが大切です。

黙って寄り添う

『小さな村の物語 イタリア』というテレビ番組の中に、親と子のこんなエピソードがありました。そのイタリアの村では、お昼になると、仕事や学校に出かけている家族が帰ってきて家でご飯を食べます。ある家庭で、お父さんが先に帰ってご飯をつくっていると、息子が帰ってきました。お父さんがパスタをつくりながら、「どうだった?」と訊くと、息子が「今日は最低だった」と言います。「それはついてなかったな。で、どうしたんだい?」と訊くと、「もういい」と言います。お父さんはそれ以上は声をかけません。そのお父さんは、「どうしたんだろう?」という自分の気持ちを優先せずに、息子さんの気持ちのところにいて、言いたくない気持ちに共感して黙っているのです。そのうちお母さんも帰ってきて、「パスタができたから、食べるか」と三人で食べ始めます。子どもの話は、内容ではなく、気持ちを聞くことが大切であることを教えてくれる一場面でした。

受けとめ、受け容れる

子どもの話を聞く時は、まず子どもの話を受けとめ、それから受け容れます。子どもが何かを言った時に「うん」とうなずいたり、「あなたの言っていることを私は聞こうとしている」という態度で子どもの存在を受けとめます。こうしたうなずきや合いの手によって、関係がつくられていきます。まずは、言葉、態度、表情などで「聴いているよ」というサインを送って「受けとめ」、「受け容れる」につなげていきましょう。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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