電話応対でCS向上コラム

第15回 態度や行動と、言葉の内容が一致するように心がけよう

言っていることと、態度や行動が一致しない人に会ったら戸惑いを感じます。たとえ本人に悪気はなくても、本意をどう受け止めていいか分からないので困ってしまいます。言葉と行動を一致させるように心がけましょう。それが明確な自己表現になります。

言行不一致は相手を惑わせる

ニコニコと笑顔で「腹が立った」と言われても、嬉しいのか、怒っているのか分からず、どう対応したらいいか戸惑います。このような時にアサーティブな人なら「どちらを伝えたいのですか?」とはっきり聞きますが、多くの人は往々にしてどちらかを察して反応しようとします。そして、子どもや部下などの弱い立場にいる人がこのようなメッセージを受け続けたら、脅威を感じたり、懲らしめられている気持ちになる可能性もあります。

非主張的な人に多い「二重拘束的な表現」

言行不一致は「二重拘束的な表現」と言います。これは、相手に矛盾した二つのメッセージを同時に与えることで、身動きができない拘束状態にしてしまうという意味です。ふくれっ面をしながら「納得しました」と言うなどがそうですが、あいまいな言い方をすることが多い非主張的な人の表現は、二重拘束的になる可能性があります。皆さんがそのようなタイプの表現をしていないか、常日頃から見直してみましょう。

感情、態度、行動、言葉がいつも一致するとは限らない

このように、行動と言葉が一致することは大切ですが、成長に従って、次第に表現が複雑になって感情と一致しないことも増えています。例えば、感情が渦巻いている時に無表情に黙ったり、感情を抑えて「気持ちが悪い」と言ったり、悲しいのに怒ったり、怒っているのに泣いたり、笑顔で「腹が立った」というようなこともするようになるのです。

不一致のメッセージに対する信号を知る

このような言葉と態度や行動の不一致は、「感情的になるのは良くない」「怒ってはいけない」「泣いてはいけない」といった知的な作用が働いて、感情表現に歯止めをかけてしまっているのかもしれません。時には、こうした不一致を、そのまま受け止めてくれる人がいるかもしれませんが、多くの場合は、相手は戸惑い、反応に窮して押し黙ってしまうでしょう。それが不一致のメッセージに対する信号なのです。このような時は、自分が表現したいことや感じていることと、考えていることが適切に言葉や態度、行動に出ていない可能性があります。

不一致に気づいたら自分を見直そう

不一致があなたや相手を苦しめているとすれば、表現方法をふり返ってみましょう。複雑な感情や葛藤、矛盾した気持ちは、むしろ不一致をそのまま正直に表現すると分かりやすくなります。「自由にしてもらいたい気持ちと、心配な気持ちが両方ある」と。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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